年末年始、ニュースサイトで、「AppleがiOSアプリとmacOSアプリの統合を検討している」という噂が流れた。これが本当なら、iOS開発者にとっても、macOSアプリ開発者にとっても、ユーザーにとってもメリットが大きいと考えられる。

iOSアプリは既に、クロスプラットホーム化が進んでいる。ARMベースで動作するデバイスとしてiPhone/iPad/Apple Watch/Apple TVがラインアップされており、開発者は、当初よりiPhoneとiPadを単一のアプリとして配信できるようになっていた。

Apple Watch登場時、iPhoneアプリにWatchアプリを含める形で、スマートフォンの機能をスマートウォッチにも提供するスタイルを実現した。ちなみに、睡眠計測アプリの「Sleep++」は、計測そのものはApple Watchアプリで行うため、iPhoneアプリ側にはその機能がなく、記録の表示程度しかできないという仕様になっている。

  • Sleep++

またApple TV向けにApp Storeが登場してからは、Apple TVにインストールしたアプリが他のデバイス向けにもアプリを提供していれば、Apple IDで紐付いている他のデバイスに自動的にアプリをインストールしてくれるようになった。ビデオストリーミングサービスやテレビ放送のアプリを導入した場合、テレビ、タブレット、スマートフォンで継続視聴や履歴を共有しながら、シームレスな映像体験を生み出せるようになっている。

そうしたマルチデバイスのアプリエコシステムにMacが加わってくると考えるとどうだろう。映像系のアプリはもちろんのこと、生産性アプリについても、とても便利に活用ができるようになるはずだ。例えばTwitterやSlackにはすでにiOSとmacOSのアプリが揃っている。iPhoneにアプリを入れれば、iPadやMacにもアプリが入り、どのデバイスでも同じように機能を使いこなせるようになるだろう。加えて、生産性アプリについては、各プラットホームごとに有料アプリを配信するビジネスモデルから、機能利用のための定期購読へというビジネスモデルの転換の可能性が高まっていく。

筆者が愛用しているエディタアプリ「Ulysses」はそれまで、iOSとmacOSで別々に3,000円前後の有料アプリを購入しなければならなかったが、定額制に移行したおかげで、Macだけで使っていたユーザーもiPadでの利用への敷居が低くなっていく。開発者にとっては、Appleデバイスに限られるが、クロスデバイスでの「体験」をユーザーに対する魅力として提案することができるようになるはずだ。