アップルは2017年、iPhone 10周年を迎える記念すべき1年を終えた。アップルは新しい本社機能をもつApple Parkをオープンさせ、Apple Storeの新しいコンセプトの店舗も次々にオープンさせている。
主力製品であるiPhoneは、これまでの系譜を踏襲したiPhone 8、iPhone 8 Plusに加え、次世代iPhoneの姿を現すiPhone Xも投入した。
また、2017年3月に投入したiPad(第5世代)は、iPadでニーズが集まっていた企業や教育向けの大量導入モデルの需要を叶え、四半期の販売台数を1000万台に復帰させることに成功した。
プロユーザー軽視との批判を集めていたMacラインアップに対しても、MacBook Proの2年連続の更新、iMacラインアップの性能の引き上げ、さらに高い性能を発揮するiMac Proの投入で、その責任を果たした。
その他の製品は、Apple Watch、AirPodsが好調さを増しており、それぞれのカテゴリで業界のトップを進んでいる。またApp Storeなどのサービス部門についても、2020年までの4年間で売上高を倍増させる計画にむけて、順調に歩んでいる。
そんな2018年を迎えたアップルは、今年、どのような1年を過ごすことになるのだろうか。
前提となる世界経済は?
アップルに限らず、多くの企業は、自国だけでなく、世界経済の影響を色濃く受ける。
2008年のリーマンショックに端を発した世界的な景気の減速からの回復と、モバイル時代の到来の波を上手くつかんだアップルは、世界最高の時価総額を記録し、なおも株価の上昇は続いている。アップルの好業績は、世界経済の順調な回復と拡大の地合が背景にあることは間違いない。
世界的な景気拡大と技術革新速度に直接的な相関はないため、景気拡大がiPhoneの進化に直接的に働きかけることはないが、特に新興国市場の景気拡大は、高付加価値のスマートフォンを扱うアップルにとって、特にアジア太平洋地域における売上高の向上を助ける要素となる。
ただし、米国は金融緩和政策からの出口戦略として、2018年も引き続き利上げを実施していくことが考えられる。加えてトランプ政権の税制改革によって、海外に滞留している企業の資金を米国に環流させる際の税優遇も始まる。そのため、新興国向けの投資に異変が起きる可能性が指摘されており、その影響が新興国の景気に冷や水を浴びせないかが心配される。