老舗のカメラメーカーであるライカと協業し、スマートフォンのカメラ機能を強化しているファーウェイ。そのライカとファーウェイが、協業を解説する初めての機会を設けた。両社が協業に合意してから最初の製品が登場するまで、2年をかけたという。

ライカレンズを搭載したHUAWEI P10

レンズはSUMMARIT-HとSUMMILUX-H

ライカは、ドイツの歴史あるカメラメーカーだ。1849年に独ウェッツラーでCarl Kellner氏が光学研究所を設立したのを端緒として、1869年にはErnst Leitz光学研究所となった。Leitzのカメラ、つまりLeicaの名称の元となったのがこれだ。

ライカの歴史

1914年には、最初のライカカメラであるUr-Leicaの試作機が開発された。これは、ライカの歴史上「最も重要な人物」(ライカジャパン・米山和久氏)である、Oskar Barnack氏によるもの。ビデオカメラでの撮影を趣味としていた同氏が、静止画を撮影して現像、露出を見るという露出計代わりに作ったものだという。シネフィルム2コマ分の24×36mmというサイズは、現在の35mm判の元になっている。

Ur-Leicaは、カメラの歴史上でも重要な人物となるOskar Barnackの作。作られたのは「2台か3台」(米山氏)で、1台はドイツのライカ本社近くの銀行に保管されている。オークションに出しても「到底値段はつかないと言われている」(米山氏)そうだ

このUr-Leicaで撮影された写真。1920年の「ラーン川の氾濫」の写真は報道写真の先駆けで、これによってカメラが小型化され、フォトジャーナリズムが生まれたとされているそうだ

その後、1925年にはLeica I型(A型)が、1954年にはLeica M3(M型)が登場。2006年に初のデジタルカメラLeica M8を発売し、現在もフィルム、デジタルの双方でカメラを作り続けている。

開発されたライカカメラ。Leica 0型(写真はリメイク品)は市場調査用に25台程度しか製造されていない。最初の量産機はLeica I型で1925年。現在も続くM型は1954年に登場したLeica M3が最初

M型はフィルムに加えてデジタル版も登場

カメラに加えて、レンズメーカーとしても長く愛されるライカ。「最高の解像力、クオリティが出るものを作っていった」(米山氏)ため、どうしても値段が高くなってしまう。だが、それだけ定評のあるレンズ、愛されるレンズを作り続けているのだ。

定評のあるライカのレンズ群

そのライカが、スマートフォン向けカメラで提携したのがファーウェイだ。最初の製品は2016年4月に発表された「HUAWEI P9」。提携に向けて最初のコンタクトは2013年の冬だったという。最初はファーウェイからライカへのメールでの連絡だったが、これは断られたそうだ。

ファーウェイ側があきらめずコンタクトを取り続けた結果、2014年夏には提携にこぎつけた。その年は、Ur-Leica開発からちょうど100年に当たる年だった。直後、両社には専門家を集めた「スペシャルチーム」が立ち上がったという。

2014年夏に契約を締結。その直後から、ライカとファーウェイから2人をトップにしたチームが始動、開発がスタートしたという

カメラだけでなく、眼球と比べても薄いスマートフォンカメラ

最大の挑戦となったのが、「高品質なカメラを量産する」という点だ。問題はそのサイズで、スマートフォンカメラの厚みは5mm。人間の眼球が24mmであり、それよりさらに薄いサイズにすべてのモジュールを詰め込み、さらに高品質で量産をする、という課題が立ち塞がった。