世界第3位のスマートフォンメーカーであり、日本国内でもSIMフリースマートフォンが好調のファーウェイ。2017年12月には、ハイエンドSIMフリースマートフォンとして「HUAWEI Mate 10 Pro」を発売した。Mate 10 Pro投入の背景と今後の戦略について、ファーウェイ デバイス 日本・韓国リージョンプレジデントの呉波氏に話を聞きました。
―― Mate 10シリーズで、今回は上位モデルのMate 10 Proを投入しました。
呉波氏 : 2014年にHUAWEI Mate 7を投入し、その後Mate 9、Mate 10とフラッグシップモデルを継続的に日本市場に提供してきました。今回、最上位のMate 10 Proを投入したのは、一番は消費者から「ぜひとも防水防塵のスマートフォンを出して欲しい」という声に応えたからです。
我々は日々、ユーザーの声を集めていますが、「防水防塵があれば絶対にファーウェイの端末を買う」という声が多くありました。こうした日本からの防水防塵の要望が大きかったので、それを採り入れて、Mate 10の商品企画の段階から製品設計を行いました。
日本では防水防塵の要望が大きいですが、グローバルの他地域ではそれほどでもありません。例えば欧州では、水没したスマートフォンの修理サービスなどを展開する、スマートフォンの保険に関わったビジネスができあがっています。これが大きな規模になっているため、防水はいらないという声があります。日本でも補償サービスはありますが、そこまでのビジネス規模と収益源にはなっていません。今回、Mate 10 Proを出した一番の理由は日本市場です。
―― 今後、防水防塵はハイエンド機で標準になりますか?
呉波氏 : 高度な技術が要求されるものではないのですが、ハイエンド機向けの機能としていきます。一度、スマートフォンの防水防塵技術を確立すれば、あとはほかのモデルにも適用できます。
―― 現在、ソフトバンクのVoLTEのみ対応していますが、他社のVoLTEへの対応予定は?
呉波氏 : 今後は、ソフトウェアアップデートでほかのキャリアのVoLTEにも対応していく予定です。キャリアとの協議によって決まりますし、その過程でキャリアのラボも使いますので、いつまでにとは答えられませんが、3大キャリアでの対応に向けて進めています。
―― 以前から日本市場の要望に応えるという方針を示していますが、もう一つの要望であるFeliCaについてはいかがでしょう。
呉波氏 : FeliCa対応は必ずやります。FeliCa対応は、部品を追加するだけなのでそれ自体は簡単ですし、FeliCaの検定もそれほど難しくありません。一番の問題は応用面です。
せっかくFeliCaを搭載したなら、日本の消費者にとって使い勝手が良く、快適に使用してもらえることを望んでますので、そのためには(ハードウェアだけでなく)クラウドサービスも必要になります。そのため、FeliCaをベースとしたHuawei Payを提供する計画です。
ただ、日本市場ではまだファーウェイは大規模なクラウドサービスを提供していません。クラウドを構築するにあたって、大前提としてデータが日本国内にとどまる必要があります。こうした点を踏まえてサービス提供に向けて進めています。
―― iPhoneのように、グローバルモデルでFeliCaを搭載する計画はありますか?
呉波氏 : 現時点では検討中です。まだ最終決定をしていません。
―― Mate 10 ProではAIを訴求してます。今後のAIの戦略は。
呉波氏 : Mate 10 Proでは、カメラのシーン認識以外に、ノイズリダクション、バッテリー管理、翻訳アプリでAIが使われています。日本ではクラウドを構築していませんが、中国ではクラウドを用いた支払いサービスや荷物のトラッキングなどで、AI技術が活用されています。
支払いに関するAIは、いろいろなシーンで活用されます。AIを取り入れることで、より快適にユーザーにスマートフォンを使ってもらえます。
こうした形を最終的には目指していますが、日本国内では段階的に、徐々にやっていきたいと考えています。日本の法律、法令に則った形で進めます。先ほどのように、せっかくFeliCaを入れたのに、タッチして支払うだけでにしか使わないのではもったいないからです。利便性とユーザーエクスペリエンスを、より高めるのが目標です。
―― 来年、2018年ですか。
呉波氏 : どのタイミングでやるかは、今は申し上げられません。ふさわしい時期に発表しますので、どうかご期待ください。