新しいiPhoneに機種変更しようとお考えのみなさん、iPhone 8にするか、X(テン)にするか、迷っていませんか? 目新しさから何かとXが注目されていますが、8だって性能的には見劣りしない実力派。さて、その違いはどこなのか、何を比べて選べばいいのか。実際に使ってみた体験から、5つのテーマに分けて選び方のポイントをまとめてみました。

  • iPhone 8(右)とiPhone X(左)、どちらを選ぶ?

テーマ1:第一印象が大事! フィーリング対決

毎日何度も手に触れ見つめるiPhone。こんなに触れる日用品は他にないですよね。だから選ぶときには、見た目や手に持った時のフィーリングを大事にしたいもの。その観点からすると、iPhone Xは一言でいえば「硬質」、iPhone 8は「エレガント」な印象です。

Xはシルバーとスペースグレイの2色とも、スリープ中は真っ黒な画面。メタリックなフレームの輝きや、画面上部のノッチ(カメラ内蔵部の切り欠き)がメカっぽい印象を与えます。「カッコいい」はあっても「かわいい」はない、そんなデザインです。

  • メタリックなフレームがシャープに光る、硬質な印象のiPhone X

対して8は、ツヤやかなガラスと、それに一体化したマット仕上げなフレームが柔らかな印象。特に、Xにはないゴールドのカラーリングは端正で品のある色合いです。こちらは「カッコいい」も「かわいい」もありなんじゃないでしょうか。

  • マット仕上げが柔らかに光る、エレガントな印象のiPhone 8

また、8に比べるとわずかながら厚く、そこそこ重さがあることも、Xのメカっぽさを強調する要因といえるかもしれません。女性が衣服のポケットに入れるには微妙に大きいと感じます。カバンから取り出すにしても、指でつまんで引っ張り出すには意外と抵抗がある、といった感じです。手の大きな男性からすると、これくらいの方が安定感があるのかもしれません。

  • iPhone 8(左)とX(右)、大きさ以上に重さに違いを感じます

というわけで、フィーリング対決のまとめはこちら。

  • 薄い、軽い、かわいいのが好きな人には8がおススメ
  • メタリックでカッコいいのが大歓迎な人にはXがおススメ

テーマ2:決定的違いの一つ、ホームボタンの有無対決

これまでのiPhoneの歴史において、全ての操作の始点と終点であったホームボタン。XでそれがなくなったというのはiPhone史上に残る一大事でした。操作感がガラッと変わってしまって大丈夫か? と思いきや、筆者の場合は使ってみると意外にすぐ慣れることができました。

  • ホームボタンのないiPhone X。ホームに戻る時やアプリを閉じる時には、下端のバーを上にスワイプする

一方で困るのが、コントロールセンターを開いたり画面キャプチャを撮るとき。これまでとは違った操作が必要なのですが、ついホームボタンを探してしまったりして、度々戸惑います。慣れもあるかと思いますが、しばらくはカンペが必要かもしれません。

  • iPhone Xの画面キャプチャはサイドボタンと音量ボタン(上)を同時押し、なのですがつい戸惑いがち

ただ、便利か不便かということを抜きにして、「押す」という物理的な(物理ボタンではなかったとはいえ)動作がなくなることによる別物感はかなり大きいと言えます。画面の向こう側を操作している感覚から、機器と人間との境界線が一段階こちら側に近づいたような、不思議な感覚です。これを未来感というのかもしれません。

というわけで、ホームボタンの有無対決のまとめはこちら。

  • これまでの操作性が変わることに不安がある人には8がおススメ
  • とはいえ意外とすぐに慣れるので、新感覚を試したい方にはXがおススメ

テーマ3:一長一短、Face IDとTouch ID対決

もう一つ、iPhone Xで注目を集めているつ機能といえば、従来のTouch ID(指紋認証)に代わるFace ID(顔認証)。ロック解除やアプリ購入・Apple Pay支払い際には、ホームボタンに指を乗せる代わりにiPhoneの画面を"見る"だけで認証が完了します。ロック解除の際の認証エラーも体感的にはTouch IDより少ない印象。

また、Xは画面に触れるだけでロック画面が表示されるので、テーブルに置いたままチョイと触れてもロック解除が可能。入浴中にiPhoneを使う場合も、濡れた指ではTouch IDは使えませんが、Face IDなら大丈夫です。サングラスは色の薄いものでしたら大丈夫です。

  • メガネを換えても外しても大丈夫。ヘン顔、あくび、ウィンクもOKですが、両目を閉じているとNG

逆に、Face IDの弱点は顔の一部を覆ってしまうマスク。認識させるには口元が見える位置まで下げなくてはなりません。カゼや花粉症の季節はちょっと難ありかも。

ということで、Face IDとTouch ID対決のまとめはこちら。

  • 花粉症が長引く人や、濃いサングラスを頻繁に使う人には8がおススメ
  • お風呂でよく使う人、Touch IDが面倒な人・苦手な人にはXがおススメ

テーマ4:大きさだけじゃない? ディスプレイ対決

iPhone Xは表面の端から端までが表示エリア。そのため、ボディサイズの違い以上に画面サイズの差が大きくなっています。とはいえ、幅はそれほど変わらずタテ方向に長いため、一見して画面がぐっと大きくなったという印象は受けません。

Xの画面サイズに対応していないアプリもまだまだ多く、その場合は上下が黒い帯でカバーされるので、実質的な表示領域は8とほぼ変わりません。しかし、これが「メール」や「Safari」などでは文字にして数行の差が現れ、「マップ」等では端まで表示領域となるため結構な違いが見られます。

  • 画面の端まで無駄なく使うアプリでは、表示領域の差が顕著に

「写真」でも同様に、元の写真の比率(4:3など)で表示する分には特別違いはないのですが、拡大すると見える範囲がぐっと変わります。また、表示領域だけでなく、よくよくみるとグラデーションの表現などはXの方がより奥行きのある色味に見えます。8も十分にキレイなのですが、比較してみると表示性能にも微妙に差があるようです。

  • この写真ではわかりにくいですが、肉眼で見るとグラデーションの表示はXの方が微妙ながらより奥行きある色合いに

サイズの違いが顕著に出るのがキーボードの表示でしょう。画面が大きければ単純にキーが大きくなる……のですが、縦位置では下部にスペースが設けられるため実質的にそれほどの違いはありません。一方、横位置では長さを活かして余裕のある配置となっています。QWERTYキーボードがお好きな方には嬉しいレイアウトですね。

  • キーボードは、横位置表示の方が違いが明らか

というわけで、ディスプレイ対決のまとめはこちら。

  • 少しでも大きくキレイなディスプレイを選びたい方にはXがおススメ
  • そこまでしなくても十分にキレイだと思う方には8がおススメ

テーマ5:すでに十分な性能ではありますが…カメラ性能対決

どちらも高性能とは分かっていても、やっぱり違いは気になりますよね。大きな違いは2つあります。一つは外側についているカメラの望遠機能。8は最大5倍、Xは最大10倍のズームが可能です(デジタルズーム)。もう一つは一眼レフカメラのようなボケのある写真が撮れるポートレートモードの有無です。

  • カメラ性能ざっくりまとめ。8とXの大きな違いは、望遠とポートレートモードの有無

  • 通常の撮影(左)とポートレートモード(右)。同じ構図でも背景をぼかして印象的なカットに

とはいえ、8もカメラの性能は申し分ないレベル。十分にキレイな写真を撮ることができます。Xはよりこだわった撮影をしたい人向けと言えるでしょう。セルフィーでポートレートモードが使えることも強力なポイントです。

  • 数字には現れていませんが、8のカメラも以前と比べて表現力がアップしています

というわけで、カメラ性能対決のまとめはこちら。

  • これまでのiPhoneよりもキレイな写真を撮りたい人には8がおススメ
  • それに加えてこだわりある撮影をしたい人にはXがおススメ

最後に価格をまとめておきましょう。以上、お悩み中のみなさまの手助けになれば幸いです。