では、これまでオフィス空間はどう変遷してきたのか。大川氏によると、1960年代は教室型のレイアウトだった。70年代に島形のレイアウトになり、80年代はパーティーションの普及により、ワーカーのスペースが区切られていった。これは、空前の好景気により、深夜残業が当たり前になった影響だとする。そして、90年代になると、フリーアドレスが採用されるようになった。ただ、当時のフリーアドレスは、バブル崩壊によりオフィススペースを削減したい経営層の都合が反映したものだという。
では、これからは、どういうオフィスが求められるのか。大川氏によると、どこでも仕事ができる環境が必要になるという。
たとえば米Airbnbのオフィス。家のリビングのようにリラックスできるスペースがあり、そこで仕事ができる。また、ペットを連れてきてもよいし、カフェテリアも広い。米グーグルの場合、自席が用意されながらも、どこでも仕事ができるという。
浮いた人件費をオフィス環境構築に
大川氏は、アメリカ、オランダ、オーストラリアの企業のオフィスはとても先進的と話す。逆にいうと、自席が決まっていて、そこに張り付いて仕事をする日本のオフィスは、時代遅れということになる。
働き方改革を推進するなら、労働時間の時短だけでなく、快適なオフィスも必要といえよう。企業は時短による人件費削減によって生じた資金を内部留保するのではなく、快適な空間を作る投資にまわしていくべきだろう。
さて、最後にまったくの余談だが、セミナーが行われたのは、三井グループ向けの綱町三井倶楽部。映画やテレビのロケ地になることもある建物で、まるで宮廷にいるかのような豪華さだった。