セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズは11月28日、全自動洗濯物折り畳み機「/laundroid」(以下、ランドロイド)に関する記者説明会を、東京・原宿のSevenDreamers Cafeのギャラリースペースで実施した。
セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズは、ほぼ2カ月前の2017年9月29日に、ランドロイドの発売延期を発表しており、今回の説明会はこの理由を説明するものだ。阪根信一代表取締役社長は「2018年度の後半になるが、2019年3月までには必ず出荷する」と決意を述べた。
当初、予定に従って2017年度中の出荷開始で準備してきたが、開発を進めていくうちに、ランドロイドの苦手な領域が思った以上に多いことが分かり、出荷後のファームウェア更新だけでは対処が困難と判断。ハードウェアに変更を施すには、発売の延期しかないと決断した。
ランドロイドはもともと、靴下やシーツなど、自動折り畳みが苦手な衣類があり、それらは折り畳みの対象外となることをアナウンスしていた。今回、新たに分かった苦手な領域は、滑りやすいシルクのような肌触りの高級インナー系と、ジーンズ以上にごわごわした畳んでも折り目が戻ってしまうような硬い素材の服という、大きく2つ。
特に高級インナーは、従来の機構だと畳んでいる最中にアームから滑り落ちてしまうケースが多く、折り畳みの対象外にするか悩んだという。だが、衣料品メーカーが涼感インナーなどの高級インナーを相次いで発売し、ユーザー調査するとランドロイドの購入宣言をしたような層には、高級インナーの愛用者が多いことも分かり、対応しないわけにはいかないと考えたそうだ。また、タオルの折り畳みも比較的難しいことも明らかにしながら、機械学習による折り畳みの仕組みについて解説した。
ランドロイドは衣類の形状から、衣類の種類を識別するアルゴリズムの精度をディープラーニングによって向上させている。現在のアルゴリズムでは、タオルの折り畳みの成功率は75%程度だという。
この75%という成功率を引き出すのに必要な画像は、衣類1つあたり25,600枚。そして、成功率を95%に上げるには、その10倍となる256,000枚もの画像が必要になり、画像の用意とインプットに時間を取られている状況なのだそうだ。
阪根社長は「タオルは人間が手で畳む時には一番簡単に感じる洗濯物なので、機械学習も同様と考えて取り掛かりが遅れた。だが、タオルはシャツやズボンと違って形状の特徴がなく、機械にとって実は他の衣類よりも判別が難しいアイテムだと分かった。現在、エンジニアが急ピッチで機械学習を積ませており、発売までには成功率を95%以上まで持っていく」と語った。
「発売延期を決定した時には、すでに金型なども用意していてギリギリのタイミングだった。開発に協力してもらっているパナソニックや大和ハウスとも何度も話し合い、延期と決めた。延期したからには必ずより良いものにしてリリースする」と阪根社長。なお、販売価格は従来アナウンスの約185万円から変更はない。