Pepperの動きを現場で作り込むことが可能に

Pepperの弱点として、モノをつかむことができないなど運動能力が低い点がある。同じソフトバンクグループのボストン・ダイナミクスのロボットが「バク宙」する動画が話題になったのとは対照的だ。だが、よく動くロボットは子どもやお年寄りにぶつかる恐れがあり、接客には使えない。小柄なPepperですら床に固定されているほどだ。

むしろ接客ロボットに求められるのは、対人での受け答えや外部のシステムとの連携を担うソフトウェアだ。ソフトバンクはPepperの機能を作り込むツール「お仕事かんたん生成」を2.0にアップデートした。10業種に対応したテンプレートが入っており、プログラミング言語を使うことなく業務フローを実装できる。

  • 「お仕事かんたん生成2.0」でPepperの動きを作り込める

こうしたツールを活用すれば、システム部門に依頼することなく、現場レベルで臨機応変に仕事を覚えさせることができる。商品名などの読み上げが不自然にならないよう「アクセント」も指定できるなど、細かな調整ができるのは面白い。

  • Pepperの読み上げを自然なアクセントにする調整機能も

その先にソフトバンクが見据えるのは、2017年3月末に314億円の債務超過だったことが注目を浴びたロボット事業の黒字化だ。ソフトバンクロボティクスグループ社長の冨澤 文秀氏は「(実証実験かとの問いに対して)Pepperは完全にビジネスである」と断言した上で、Pepper以外のロボットも含めた黒字化を目指していくという。

  • ソフトバンクロボティクスグループ代表取締役社長兼CEOの冨澤 文秀氏

Pepperが飽きられているとの指摘に対して、「お店にPepperしかいない状況になれば、話しかけざるを得なくなる」と冨澤氏は語る。現時点では雲をつかむような話だが、客寄せではなく労働力として役に立つならば2台、3台と複数台の導入が進む可能性はある。Pepperが本当の意味で導入企業のビジネスに貢献できるかどうかが鍵になりそうだ。