今年も「牛すき鍋膳」を発売した吉野家。定番商品の登場で集客に弾みがつきそうだが、気になる点もある。それは、同社が不得手とする女性客をどのように獲得するかだ。女性客に訴求すべく、吉野家は新型店舗を展開するなど手を打っている。

11月1日に「牛すき鍋膳」を発売した吉野家。長年の課題は、女性客をいかにして取り込むかだ

女性客とファミリー層の取り込みが課題

1899年に誕生した吉野家は、「うまい、やすい、はやい」をスローガンに100年を超えるストーリーを持つ企業だ。「まずはお客様に喜ばれなければいけない」を吉野家文化の筆頭に掲げ、牛丼をコア商品としてメニューの多様化を図り、多くの利用客に選ばれる価値を提供し続けてきた。冬の定番商品として定着し、ファンも多い「牛すき鍋膳」をはじめ、最近では夕食需要に対応した「おろし牛カルビ定食」など、新たな客層の確保に向けたアイテムの拡充を進めている。

一方で、吉野家に足を運ぶ機会の少ない客層も存在する。それが、女性客とファミリー層だ。

「牛すき鍋膳」の発表会に登壇した吉野家の河村泰貴社長(画像)も、女性客とファミリー層の取り込みが課題と話していた

カウンターのイメージで女性客の足が遠のく?

女性客が足を運ばない理由は誰にでも分かる。大きな理由としては、吉野家を好んで訪れる“中年男性客”のイメージが色濃いことだ。また対面式のカウンターは、従業員のオペレーションを効率化するには大きなメリットだが、女性客にとっては逆にデメリットと映る。

他にも、女性向けのメニューが少ない、女性向けのサイズが少ないなど、コアターゲットとしてきた20~40代の男性客以外に、どのように向き合っていくかが吉野家の大きな課題となっていた。これまで多くの施策を打ってきたが、これまでのところ、女性客を大幅に増やすことには成功していないようだ。