ソニーは10月31日、2017年度第2四半期(7~9月)の決算説明会を開催した。同四半期の売上高は前年同期比22.1%増となる2兆625億円、営業利益でも同346.4%増の2042億円を記録した。前年同期には熊本地震の影響によるイメージング事業などの減益があったが、これを除く営業利益についても前年同期比で130.5%増となっている。
第1四半期に引き続き、好調な決算を続けたことで、上期の売上高では3兆9206億円と前年同期比で18.7%増、営業利益についても同255.0%増の3618億円を記録した。そのため、第1四半期ではソニー 代表執行役副社長 兼 CFO(最高財務責任者) 吉田 憲一郎氏が「まだ(今年度期は)4カ月しか経っていないため、緊張感をもって臨んでいく」と語っていたのとは打って変わり、通期予想を大幅に引き上げた。
8月時点の売上高見通しは8兆3000億円だったが、8兆5000億円に2.4%増、同じく営業利益では5000億円の目標が6300億円の26.0%へと引き上げた。なお、為替レート想定をあわせて1ドル110円から1ドル112円に、1ユーロ120円から130円にそれぞれ変更している。
多くのセグメントで上方修正続くソニー
好調な決算は過去に続いた資産売却益などの要因もなく、純然たる事業の利益貢献が多い。
特にお荷物と言われ続けてきたテレビ事業を含むホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)セグメントでも、8月時点の売上高1兆1700億円、営業利益580億円という通期予想をそれぞれ1兆2000億円、760億円へと引き上げている。売上高の上方修正は、テレビの販売台数増加、営業利益では調達価格の下落などが要因だ。
また、ソニーが中核と位置付けていた三本柱「モバイル・イメージング・ゲーム」のうち、イメージング(半導体セグメント)では、販売数量の大幅拡大や前年の熊本地震の影響からの脱却によって、第2四半期の売上高は346億円(+17.9%)増の2284億円、通期見通しでも8800億円(期初予想8600億円)、営業利益も1500億円(期初予想1300億円)と好調だ。
カメラ事業のイメージング・プロダクツ&ソリューションにおいても、通期予想こそコンパクトデジカメのエントリーモデルの環境やR&Dコストの増加が見込まれることから据え置かれたが、第2四半期は売上高で前年同期比213億円(+15.8%)増の1567億円、営業利益でも40億円の増益となる189億円を記録している。
一方で先日、ゲーム子会社Sony Interactive Entertainment(SIE)の社長交代が発表されたゲーム&ネットワークサービスでは、ネットワーク経由販売を含むPS4ソフトウェアの増収、PS4ハードウェアの増収が寄与し、売上高で前年同期比1133億円(+35.4%)増となる4332億円、営業利益でも358億円増の548億円となった。
いずれも、好調な製品販売に加え、やや円安に振れている為替レートの恩恵を受けているものの、「数より質」を追求し、製品ミックスの改善を続けてきたこの数年の成果が現れているとも言えるだろう。その他の映画分野や音楽分野、金融分野でも通期見通しの変更がない分野もあるものの、いずれも増収・増益を記録しており、ソニーグループ全体の勢いが着実に増している印象を受ける。
しかし、通期予想で唯一マイナスの見通しを余儀なくされたセグメントが、モバイル・コミュニケーションだ。