PTCは10月2日、AR(拡張現実)開発プラットフォームであるVuforiaの新バージョン「Vuforia 7」を発表した。新バージョンでは、デジタルコンテンツをより多くの種類のオブジェクトや環境に配置する機能が進化しているのに加え、さらに高度なAR体験をより多くの携帯端末で利用することが可能となった。

「Vuforia」は、主要なスマートフォンやタブレット端末、アイウェアに対応したAR開発プラットフォーム。その中心となるVuforiaエンジンは、デバイスのカメラやセンサーを使用することにより、アプリ内のデジタル「アイ」(目)として機能する。同エンジンを通じ、コンテンツを配置できる物体や面を「見る」ことができ、開発者は既存の開発ツールを利用してAR体験を作成できる。

新バージョンのVuforia 7では、既存のコンピュータビジョン技術では認識できない、物体にコンテンツを配置するための新機能であるモデル・ターゲットの利用が可能となった。モデル・ターゲットは、詳細な視覚的デザインに依存する既存の方法とは異なり、物体の形状を認識する機能で、これを利用することで、自動車、家電製品、工業用設備・機械などの物体に、コンテンツを配置することが可能となる。モデル・ターゲットにより、従来のユーザーマニュアルや技術サービス手順書に置き換わる、新たな種類のARコンテンツを実現できる。

また、コンテンツを水平面に配置する機能が搭載された、Vuforiaのグラウンド・プレーン機能を利用することで、屋内、屋外にかかわらず、コンテンツを地面や床、テーブル上に配置することが可能となる。さらにVuforia 7では、幅広いデバイスで最高のAR体験を提供する新機能「Vuforia Fusion」も追加されている。同機能は、カメラおよびセンサー、チップセット、AppleのARKitやGoogleのARCoreなどのソフトウェアフレームワークにおける、AR対応技術の断片化の問題を解決する。これにより、デバイスの機能を感知しVuforiaの機能と融合させ、開発者は最適なAR体験をVuforia APIのみで実現することが可能となる。Vuforia Fusionは、100種類を超えるAndroidやiOS対応のデバイスモデルに加え、ARCoreやARKit対応デバイスに向けてもVuforia機能を提供する。

なお、Vuforia 7はARKitに対応し、Unityの次バージョンで利用可能になる。Vuforiaグラウンド・プレーンは、新たな無償オプションの一部としてUnityに含まれる予定となっている。Vuforia Engine SDKは、今年中にXcode、Android Studio、Microsoft Visual Studio向けに提供を開始する予定で、ARCoreへの対応は来年初めに予定されている。