iPad向けiOS 11のDockには、よく使うアプリを登録しておくと便利だ。よく使うアプリというとざっくりとしすぎているが、Dockを活用し始めてみると、それがどんなアプリか分かってくる。

まず、単純に起動頻度が高いアプリだ。画面下部から短くスワイプしてDockを呼び出してアイコンを選ぶだけで起動できるため、マルチタスク画面から起動中のアプリを選ぶよりも素早く起動できる。筆者の場合は、Safari、メッセージやFacebookメッセンジャー、Ulysses、写真などがこれに当たる。

次に、画面分割で他のアプリと組み合わせて使う頻度が高いアプリだ。Dockに登録しているアプリは、アプリをタップしたままにして画面内に動かすことで、フロート表示、もしくは直接画面分割を行えるようになる。例えばメモアプリは普段から利用頻度が高いが、Safariと組み合わせて資料をまとめたり、Ulyssesと組み合わせてメモを見ながら原稿を書く、という使い方が多い。であるので、Dockに入れておき、すぐにマルチタスクに持ち込めると便利だ。同じ理由でアウトライン編集アプリのCloudOutliner 2もDockに入れるようにしている。取材で撮影した写真を見ながら原稿をまとめることも多く、写真アプリもDockに入っていると活用しやすいと感じる。

そしてもう1つは、ドラッグ&ドロップの対象となるアプリだ。これもメモやUlysses、そしてiOS 11で追加されたファイルなどが便利だ。例えば写真アプリから複数の写真を選んでメモに貼り付けるという動作は、魔法のような感覚だ。写真アプリで1枚の写真を選ぶ際、タップしたままにして他の写真を別の指でタップすると、複数選択することができる。そのままDockを開いてメモアプリのアイコンの上で指を離せば、複数枚の写真を1つのメモに貼り付けられる。iOS 11を使い始めた当初は、この作業を両手の指を使って行っていたが、慣れてくると写真の選択からDockの表示までを片方の手だけで行えるようになる。

いままで、iPhoneと同じ操作方法で利用できるタブレット、という存在がiPadだった。しかし冒頭で感じた印象の違いは、iPadについて、より画面サイズを活かした新しい操作方法を提案し、iPadならではの効率的な作業を実現できるように取り組んだ結果、と言えるのではないだろうか。