KDDI総合研究所と住友電気工業(住友電工)は9月22日、114の空間多重を可能とするマルチコアマルチモード光ファイバー技術を用いることで、光ファイバー1芯での伝送容量を、従来の2.15Pbpsから10.16Pbpsへと高めた伝送実験に成功したことを発表した。

同成果の詳細は、スウェーデン・イエテボリで開催された光通信技術に関する欧州最大の国際会議「European Conference on Optical Communications 2017(ECOC 2017)」にて発表された。

従来、単一コアの光ファイバー(単一モードファイバー)通信では、光信号を波長軸上に複数波長多重することで伝送容量を拡大してきたが、入力できる光パワーの限界や光ファイバー中での信号間の干渉などにより、実質的な伝送容量は毎秒約0.1Pbpsが限界と言われている。そこで、その限界を打破する技術として近年、光ファイバーの中に複数のコアを設けるマルチコアファイバーや複数の伝搬モードを活用するマルチモードファイバーに代表される空間多重技術が世界各地で開発が進められており、これまでの記録では、22の空間多重が可能な22コアファイバーを用いることで、2.15Pbpsの伝送が実現されていた。

今回の研究では、空間多重数が100を超えるマルチコアマルチモード光ファイバーの高性能化とともに、実際に毎秒10Pビットの伝送を評価するための信号を用意したほか、全チャネルを効率的に評価できる手法を導入して、伝送特性を評価。その結果、伝送距離11.3kmにおいて、伝送容量として毎秒10.16Pビットを実現したとする。

なお、今回の研究によりマルチコアマルチモード光ファイバーを用いた10P超の超大容量光通信システムの実現可能性が示されたことから、研究グループでは今後、マルチコアファイバーやマルチモードファイバーの適用領域を見極めながら、5Gを含め将来の大容量データ通信の需要に対応できる光ファイバー伝送の基盤技術の開発を進めていくとしている。

今回開発されたマルチコアマルチモード光ファイバー伝送の概要