世界最大級の国際コンシューマーエレクトロニクス展「IFA2017」において、中国Huawei コンシューマー ビジネスグループCEOのRichard Yu氏が基調講演を行い、発表されたばかりのモバイル向けSoC「Kirin 970」を紹介した。

Kirin 970は「モバイルAI」を実現するためのSoCであり、Yu氏は、モバイルAIによる進化をアピールしている。

Kirin 970

Kirin 970を紹介するRichard Yu氏

Yu氏はまず、「インテリジェンス」について語った。人間は個人のインテリジェンスと集団のインテリジェンスで成り立っているとし、これをモバイル環境に当てはめると、個人がデバイス、集団がクラウドとなる。そして、このデバイス上のAIとクラウドのAIを合わせたのが、Kirin 970で実現する「モバイルAI」なのだという。

デバイス上のAIとクラウドAIの組み合わせが「モバイルAI」

最適なAIソリューションの実現に必要なこと

デバイス上のAIについて、Yu氏は「4つのチャレンジがある」と話す。「認知」「認識」「セキュリティ」「パワー」の4つだ。デバイスの認知にはカメラとマイクが該当し、AIが処理を進めるために必要な情報を、どれだけ得られるかが重要となる。

4つのチャレンジ

スマートフォンでの「認知」

2つ目の認識は、「どこ」を認識するためのシーン認識、「誰」を認識するためのユーザープロファイル、「何」を認識するためのユーザーの意図を、それぞれ検出する方法の実装だ。

スマートフォンでの「認識」

3つ目のセキュリティでは、センシティブなパーソナルデータ、プライベートなデータ、プライバシーデータというそれぞれの情報をしっかりと保護することの重要性を強調する。そしてYu氏は、こうしたセキュリティにおいては端末内で情報を処理することでよりプライバシー保護が可能になるとしている。

スマートフォンの「セキュリティ」

4つ目のパワーは、AIの処理のためには高性能が必要で、さらにモバイルで処理するために低消費電力である必要がある。リアルタイムのオブジェクト認識には16GFLOPS、32msほどで400mAが必要となるが、常時動作する歩数計は0.4mA程度。これだけの消費電力差があり、これを解消することも必要となる。

スマートフォンの「パワー」

Yu氏は、スピード、低消費電力、安全性といった観点から、最適なAIのソリューションはデバイス上でのAIだとする。それを実現するのがKirin 970だ。