マイクロソフトは9月1日、都内で「Japan Partner Conferrence 2017 Tokyo(ジャパン パートナー カンファレンス)」を開催した。マイクロソフトのビジョンや戦略、連携強化の取り組みなどをパートナー企業向けに解説する催しだ。

基調講演では日本マイクロソフトの平野拓也社長、パートナー事業本部長の高橋美波常務、エバンジェリストの西脇資哲氏らが壇上に立ち、同社が「働き方改革」「デバイスモダナイゼーション」「インダストリーイノベーション」を注力分野とすること、この3つを横断する技術としてセキュリティとAIの有効活用に着目していることなどを訴えた。

Japan Partner Conferrence 2017 Tokyoの会場の様子。全国からたくさんのパートナー企業が聴衆として参加した

日本マイクロソフトの会計年度は7月からスタートする。平野社長はまずは同社の2017年度(2016年7月1日~2017年6月30日)を振り返り、「デジタルトランスフォーメーション元年」と言える位置づけであったと述べる。

クラウドビジネスが伸長して注力分野とする「働き方改革」でも大きな追い風が吹き、Office 365などのソリューションが深く刺さった良い一年であったと総括した。

26兆円にまで上るAI関連市場

平野社長は、AIやMixed Realityといった新しい技術が、ビジネスの中にどんどん入り込んで来ており、クラウドビジネスの中でも特に「インテリジェント クラウド」や「インテリジェント エッジ」と呼ばれる分野は、その市場規模を26兆円にまで膨らませると予測。

「インテリジェント」はつまりAI活用のことだが、2018年度は「インテリジェント」という言葉を耳にする機会が増えるだろうと述べる。

つい先日、米マイクロソフトからAmazonとの提携の発表があり、2017年中にWindows 10のCortanaとAlexaを相互連携できるようにすると表明があった。AI同士が会話してエンドユーザーにベストな提案、経験を提供するというもので、平野社長は「これこそまさにインテリジェント クラウド/エッジの象徴的な連携だ」と指摘する。

日本マイクロソフトの平野拓也社長

様々なインテリジェントなデバイスが、シームレスに連携する「インテリジェント クラウド」や「インテリジェント エッジ」の製品やサービスが台頭するという

品川本社にクリエイティブスペース登場

先述の通り、日本マイクロソフトでは2018年度の3つの注力分野を「働き方改革」「デバイスモダナイゼーション」「インダストリーイノベーション」としている。

このうち「働き方改革」は前年を踏襲するものだが、例えばオフィス用家具のメーカー「Steelcase」との提携により、働き方改革における新しい提案として、オフィス空間と家具を調和させたクリエイティブスペースを品川本社に開設。見学者希望者にはスペースを開放するという。

また、「Office 365」「Windows 10」「Enterprise Mobility+Security」をパッケージにした「Microsoft 365」も紹介。大規模企業向けの「Microsoft 365 Enterprise」と中小規模企業向けの「Microsoft 365 Business」の2種類を用意し、働き方改革を支援するトータルソリューションとして展開するという。

社員のクリエイティビティを引き伸ばす労働環境作りの例としてのクリエイティブ スペースを社内に設置

8月からパブリックプレビューの始まった生産性向上サービス「Microsoft 365」

Mixed Reality認定プログラム、国内でも本格展開

「デバイスモダナイゼーション(端末の近代化)」としては、2017年6月に発表したSurfaceファミリーのほか、2017年10月17日に提供予定の「Windows 10 Fall Creators Update」、年内中にリリースするという「Surface Pro LTEモデル」、2016年8月にリリースした「Surface Hub」の取次リセラー制度などにも簡単に触れた。

さらに「Windows Mixed Reality」の認定パートナープログラムを国内で本格展開する。博報堂、wise、ネクストスケープなどと提携し、技術者をMixed Realityのプロであるとマイクロソフトが認定する内容になるという。

3つめの「インダストリーイノベーション(産業の変革)」は、金融、流通・サービス、製造、政府・自治体、教育、ヘルスケアの6業種にフォーカスし、Azureを用いた業種特化型のサービスを提供していくもので、新規事業の起ち上げや人材育成を支援していく内容だ。

SIMフリースロットを備えたSurface Pro LTEモデルにより、国内ユーザーの働き方改革をさらに進める

Mixed Realityは未だない技術を表現する手法として必須のものになるという