ソリューション提案できる強み
今回、日本での発売にあたり、ブランド名は他国ですでに流通している「ブースト」を使用しているが、商品は日本市場向けに独自開発した。発売するのは4商品だが、今後は展開の幅を拡大していく予定だ。
「ブースト」には、前述のように何種類ものサプリメントを飲む必要がなく、ワンショットで複数の栄養素を取り入れられるという特徴がある。ワンショットサプリメントという新たなカテゴリを構築し、先行したいというのがネスレ日本の狙いだ。加えて同社の強みは、商品に「情報」や「個々に合う商品提案」をプラスし、ソリューションとして提供できる点にある。
例えば、通販サイトやドラッグストアなどの販売チャネルや、これまでに培ってきた医療機関や医療関係者とのネットワークなどを通じ、セルフメディケーションの重要性や栄養素、健康についての情報を、ターゲットを絞り込んで伝えられる。また、「ネスレ ウェルネス アンバサダー」のように通販の会員として取り込むことで、ITを利用して個別に商品提案することなども可能となるだろう。
アクティブな高齢者を応援してブランド訴求
「アンチエイジング」という言葉もそうだが、現在の日本では「加齢は好ましくないもの」と捉えられがちだ。これに対し同社では、商品を通じて「加齢をポジティブに捉える消費者」を応援し、加齢への考え方を転換することを目的とする。結果的に、社会保障費の低減、高齢者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上、ボランティアなどの社会貢献、経済効果といった、社会全体にとっての利益につながっていくことを期待しているそうだ。
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平均寿命が伸長する中で、アクティブに過ごせる期間を伸ばすにはミドルエイジからの準備が重要とするネスレ日本。50歳になったら、朝食にプラス1本という形でブーストを摂取してもらいたいというのが同社の考えだ |
気になるのは、1本270円(税別)という価格。ネスレ日本では毎日1本の飲用を推奨しており、店頭では1本から販売するが、通販では6本パックのほか、1カ月分として30本パック(8731円)で販売する。繰り返しになるが、日本の市場にはさまざまなサプリメント、健康食品があふれている。独自の強みをもつネスレの商品とは言え、どの程度の消費者が効果と必要性を感じてくれるかが鍵になってきそうだ。