大手回転寿司チェーンの無添くら寿司は31日より、糖質を減らした新商品の販売を開始する。シャリなしメニューの提供も図るなど、新商品はかなり大胆だ。

糖質オフシリーズ

新商品として提供するのは「シャリ野菜」「7種の魚介らーめん 麺抜き」「シャリプチ」の3種全10商品。目玉となるのはシャリ野菜だ。

シャリ野菜は、シャリ(酢飯)の代わりに大根の酢漬けを使ったこれまでにない寿司となる。同社では2015年より、野菜を使った寿司の提供を模索し、焼き野菜をシャリに乗せた寿司を開発・試験販売をしながらも、オリジナリティに欠けることから本販売を断念した経緯がある。今回は発想を転換して、野菜をネタとしてではなく、シャリとして使う方向で再開発し、商品化にこぎつけたという。

左からシャリ野菜 えび、シャリ野菜 ビントロ(各税別100円)

左からシャリ野菜 まぐろ手巻き、シャリ野菜 えびマヨ手巻き(各税別100円)

7種の魚介らーめん 麺抜きは、名前のとおり、7種の魚介を用いたラーメンスープを使い、麺の代わりに野菜を入れた商品。麺は使わないことで、こちらも糖質を大幅にカットしている。

左から濃厚味噌、胡麻香る坦々麺、このほかに醤油、とんこつ醤油も(各税別370円)

シャリプチは、シャリの大きさを純粋に半分にした寿司。びんちょう赤身ととろサーモンの2種がある。いずれも通常サイズの寿司もあるが、糖質を気にしてシャリを残していた人にとっては、手に取りやすい商品だ。

左からびんちょう赤身、とろサーモン

今回の取組みについて、世間の糖質制限に対する関心の高まりが背景にあるが、くらコーポレーションの田中信副社長は「"サラダ、野菜がもっとあるといい"といった要望がかねてからあり、そうした期待に応えたい。回転寿司には女性が単独では入りにくいという声もある。(野菜の活用で)女性客の取り込みを狙いたい」といった狙いも話す。

田中副社長のコメントは、女性単独での来店を指しているが、単独であろうと、ファミリーであろうと、糖質を気にする人にとっては、他店ではなく、無添くら寿司を選ぶ大きな理由になるはずだ。

無添くら寿司の取組みが生み出す可能性

無添くら寿司はこれまで、無添加にこだわった寿司に加えて、サイドメニューに力を入れてきた。ラーメン、天丼、うな丼、コーヒー、カレーと幅広く手がけ、今では常時約60種類のサイドメニューを揃える。サイドメニューに取り組んできたのは、ターゲットを拡大するためである。そうした考えをもとにすると、寿司ネタとシャリという寿司の概念にも手を入れることで、ターゲットの拡大が可能だと踏んだようにもとれる。そしてサイドメニューの拡充は他社にも広まっていった。

今回同様の取り組みも、他の回転寿司チェーンに広まっていく可能性はゼロとはいえない。他社の立場からは、糖質制限メニューが求められているか否かのテストケースになるようにも見える。奇抜な取組みではあるが、シャリなし寿司が回転寿司メニューのスタンダードになる日はやってくるだろうか。