東芝クライアントソリューションは25日、同社のモバイルデバイスと働き方支援ソリューションを紹介する「働き方改革ソリューションセミナー」を実施し、24日に発表したエッジコンピューティングデバイス「DE100」の実機を展示。その開発背景や活用法などを紹介した。
エッジコンピューティングって何?
今までPCやスマートフォン、ウェアラブルデバイス、車載端末といった通信機能を備えた機器(ここでは総称してIoT機器と呼称)を直接インターネットにつなぎ、主にクラウドサーバ側でデータを保存・処理・分析していた"クラウドコンピューティング"と異なり、エッジコンピューティングはIoT機器とクラウドサーバの間に位置し、サーバ側で行っていた機能の一部を担う。
これにより、ネットワークやサーバの負荷を軽減し、通信速度によらない、よりリアルタイム性の高いデータ処理・分析が可能となる。IoT機器側に高い性能を持たせる必要もなくなるため、より小型軽量化できるメリットもある。
省スペースPCとしても使える「DE100」
「DE100」はWindows 10 Proを搭載し、通常のPCとしても使えるエッジコンピューティングデバイス。通常は現在開発中のメガネ型ウェアラブルデバイスと組み合わせて使うもので、経験が必要なメンテナンス業務や倉庫内でのピッキング作業などで効率化が見込めるとする。
「DE100」のハードウェア概要は、CPUにIntel Core mシリーズもしくはPentiumを採用し、メモリは4~16GB、ストレージは128GBもしくは256GB SSD(CPUおよびメモリ構成はモデルにより異なる)。セキュリティチップTPM(TCG Ver. 2.0準拠)も搭載し、オプションで指紋センサーを用意する。バッテリ駆動時間は約5.5時間。
通信機能はIEEE802.11a/b/g/n/ac準拠の無線LANとBluetooth 4.2。本体サイズはW165.0×D85.0×H20.0mm、重量は約310gだ。価格はオープン。現状は法人向け製品とし、一般ユーザーの購入は想定していない。
Webカメラやマイク、タッチパッドを備えた、DE100メガネ型ウェアラブルデバイスは、12月に発表予定。DE100とメガネ型ウェアラブルデバイスはUSB Type-Cケーブルで接続し、使用者が見た映像をDE100を通じてインターネットに接続できる。Androidスマートフォンといった既存端末でも同様のことができる場合もあるが、処理性能や発熱、バッテリ駆動時間といった部分でWindows搭載の専用デバイスであるメリットがあるという。
VESAマウント100/75mmに対応し、一般的なCore m搭載省スペースPCとしても使用可能。写真(右)はUSB Type-CドックとDE100を搭載できるVESAマウント試作機で、3Dプリンタで製作したそう |
専用のメガネ型ウェアラブルデバイスは12月の発表を予定。DE100と接続できるウェアラブルデバイスは、基本的にこの開発中のメガネ型ウェアラブルデバイスのみ。一般的なメガネ型ウェアラブルデバイスとの動作確認は現状行っていない |
Skype for Businessを使ったデモンストレーションのイメージ。メガネ型ウェアラブルデバイスで撮影した映像(利用者の視点で見ている映像)をそのまま他者へ送り、音声で指示を受けたり、指示を書き込んだ写真を表示させたりできる |
東芝クライアントソリューション 執行役員 国内開発営業本部長 鏑木一誠氏は、DE100の想定用途として「複雑なメンテナンス業務」「物流倉庫のピッキング作業」「現場監視」「災害救助・医療サポート」などを挙げる。例えば倉庫ピッキング作業ではメガネ型ウェアラブルデバイスを通じてピッキング品の場所を表示し、バーコードスキャンによるハンズフリーでのピッキングを実現すると説明した。また、Windows搭載端末ならではの特徴として、VESAマウント対応による省スペースPCとしての利用や、同社製描画アプリ「TruNote」と組み合わせ電子黒板としての使い方も紹介。文教市場への導入もアピールした。