インターステラテクノロジズ(IST)は7月30日、民間開発の日本のロケットとして、初となる「MOMO」初号機の打ち上げを行ったが、発射台から離床は上手くいったものの、その後、約80秒後にテレメトリの途絶を確認。緊急停止を行ったことを発表した。

日本の民間企業が開発した初の宇宙ロケット「MOMO」の発射台からの離床の様子 (出所:十勝毎日新聞によるLIVE中継映像)

ロケットは2017年7月30日16時32分ころ(日本標準時)、北海道大樹町の大樹航空宇宙実験場近くの海岸沿いの旧防衛省試験場跡地より離床した。

同社は、2006年から宇宙事業を開始。2011年3月に、1号機「はるいちばん」の打ち上げに成功。以降、ロケットの大型化を継続的に進め、6号機「すずかぜ」では6.5kmに到達。MOMOは、これらのノウハウを活用し、一般的に宇宙空間と言われる高度100km以上へと打ち上げを目指していた。

MOMOの機体サイズは、全長約10m、直径50cm。打ち上げ時の重量は1150kgで、ペイロードは20kg(自社開発の試験装置を搭載)。エチルアルコール(EA)を燃料に、酸化剤として液体酸素(LOX)を用いる液体エンジンを採用する。本来は、打ち上げから120秒の間にエンジンを燃焼させた後、慣性飛行により、打ち上げから240秒で高度100kmに到達、その後、海洋に向けた落下となる予定であったが、発射台からの離床後、約80秒でテレメトリが途絶したため、緊急停止を実施したという。エンジンの燃焼が停止されたMOMOは、沖合い8km付近に着水した模様だ。

機体名のMOMOは、今回の目標である100kmの百のという文字に由来。MOMOは29日の23時ころに搬出され、翌30日の入ったころに射点場への立ち上げを実施。同3時ころにEAの充填を開始。当初は5時の打ち上げを目指していたが、LOXの充填後、打ち上げ直前になって液体酸素タンクの大気開放バルブのバッテリーの温度低下による電圧降下が発生し、バルブが閉まらない問題が発生したことから、機体確認のため、打ち上げを一旦取りやめ、改めて12時20分の打ち上げを目指し、機体点検ならびに燃料などの充填を行っていた。しかし、今度は海上のロケットが落下する可能性がある範囲に船が確認されたとのことで、再び打ち上げを中止。最終ウィンドウとして、前日のブリーフィング時には使用する予定はないとしていた15時45分から17時までの時間帯を、関係各所と協議。実際に使えるとの判断から、同時間帯に、この日3度目の打ち上げに挑んだ。

なお、打ち上げに関する会見が本日19時30分より行われる予定で、マイナビニュースでは、現地からの打ち上げの詳細や同会見の模様なども引き続きお届けする予定だ。