もう1つの特徴が、トレンドマイクロのセキュリティ技術をベースとした「TP-Link HomeCare」。マルウェアに代表されるサイバー脅威から、Deco M5に接続したネットワークデバイスを保護する機能だ。トレンドマイクロが作成したウィルス定義ファイルによる保護や、ペアレンタルコントロール、QoS(Quality of Service)の3機能を提供する。

気になるのはDeco M5本体と同じ3年間の保証期間後だが、木下氏は何らかの形でユーザーに延長方法を提供する予定ではあるものの、現時点では社内で検討中と説明していた。また、セキュリティ対策エンジンとしてトレンドマイクロを選択した理由については、「本社が決めたことだが、(トレンドマイクロは)プロセッサーへの負荷が低く、全体的なバランスがよい」(木下氏)からだという。

トレンドマイクロのウィルス対策サブスクリプションは3年分を無償提供

また、随時更新するデータベースを用いて悪意を持ったWebサイトのブロックや、デバイスがマルウェアに感染した場合は自動的にネットワークから隔離する機能も備えている。

ペアレンタルコントロールは、プロファイルを作成した利用者のネットワーク接続可能時間帯や最大接続時間の制御、コンテンツのフィルターレベル、アクセスしたWebサイト情報のチェックが可能。昨今は小学生もスマートフォンを使う時代のため、お子さんを持つご家庭にはありがたい機能だろう。

フィルター機能はユーザーの年齢に応じて基本的な設定は付与し、ジャンルごとのカスタマイズも行える。キーワードベースでアクセスできないWebページの設定も可能だ

なお、QoSはアプリケーションやデバイスの優先順位設定で、ネットワーク帯域を優先的に振り分けることが可能。例えば、ネットワーク管理者である父親のPCに対して優先度を高め、子どもたちのスマートフォンは低くするとった設定だ。アプリケーションに関しても、ゲームやストリーミング、Webページ閲覧など目的に応じた優先順位を付けられる。木下氏はセキュリティ全般に対して、「今後増えていくであろうIoTデバイスを含めたネットワーク全体を保護できる」とアピールした。

QoSはデバイスおよびアプリケーションレベルで設定。「カスタム」を選ぶと右側の画面に切り替わり、詳細設定が可能だ

Deco M5の設定は、スマートフォンやタブレットベースですべて行える簡単設計だ。アプリケーション上に1ステップごとのセットアップ機能を用意し、ユニットの配置やFTTHモデムとのケーブル配置、SSIDの設定などがすべて行える。2台目のユニットは本体設定を完了すれば、Bluetooth経由で他のユニットと接続するため、ネットワークに詳しくないユーザーでも容易に使えるのが特徴的だ。現在、無線LANルータと中継機を併用して、家庭内の無線LAN環境を構築している方には、Deco M5は興味深い選択肢となるだろう。

セットアップ時はユニットの配置場所などもアプリケーション上で設定する

タブレット上のアプリケーション。ユニットの状態や設置場所、ネットワークスピード情報や接続デバイスも確認できる

こちらはスマートフォン上で同アプリケーションを起動した状態。タブレット同様にユーザー管理やペアレンタルコントロールが行える

友人を招いた時、アプリケーション経由でSSID&パスワードを送信し、自宅のネットワークへ簡単に招待できる「Shake&Share」機能も備える

時期は未定だが「TP-Link HomeCare」は今後ファームウェアのアップデートで「Archer C5400」「同C3150」でもサポートするという

阿久津良和(Cactus)