オランダのゲーミングキーボードメーカーWootingは、ゲーミングキーボードの新モデル「Wooting 60HE v2」を正式発表した。2025年第4四半期に発売予定で、前モデル「60HE」で培われた技術を基盤に、入力速度、打鍵音・打鍵感などあらゆる面での改良が施されている。

Wootingは、磁気センサーを用いた「ホールエフェクトスイッチ」をいち早く採用し、入力の高速化を実現したメーカーの1つとして知られる。2022年に登場した初代60HEは、60%レイアウトのコンパクトさと軽快な操作感、「ラピッドトリガー機能」により、競技系PCゲーマーを中心に高い評価を受けてきた。WootingのCEO、カルダー・リメン氏は「初代60HEはコミュニティの力で生まれた製品だった。v2も同様であり、これはその次のステップだ」と語っている。

「60HE v2」では、処理速度を左右するポーリングレートが8,000Hz(8kHz)に引き上げられ、理論上の入力遅延が0.125ミリ秒にまで短縮された。これは、昨年登場した80%レイアウトの新型モデル「Wooting 80HE」と同水準の性能である。

組み立て済みモデルが搭載する新設計の「Lekker Tikkenスイッチ」は、密閉型ボトム構造で4.0mmの押下範囲を実現している。ホールエフェクトスイッチは従来、打鍵音が硬質とされることもあったが、今回の設計により柔らかく丸みを帯びた音を実現しているという。密閉型ボトム構造は「カチャカチャ音」を抑えられることに加えて、ホールエフェクトスイッチで重要になるセンサーとマグネットの配置精度の安定性向上にもつながる。

構造面では、筐体にアルミニウムを採用し、剛性と高級感が向上。プレート素材をFR4(ガラスエポキシ基板)に変更して、打鍵音をより”ポップでクリーン”な印象に仕上げた。さらに、内部に音を吸収し振動を抑えるためのPETフィルムやPoron(ポロン)フォームを組み込んでいる。

カスタマイズ性という点では、標準のスペースキーに加えて、スペースバーを3分割した「スプリットスペースバー」も選択できる。こうした分割スペースバーを持つキーボードのユーザーは、1つのキーのみをスペースとして使用し、他のキーにshift、ctrl、alt、レイヤーキーなどを割り当てることで、親指による操作性を向上させている。特に60%レイアウトのようなキーの少ないキーボードでは、複数のレイヤー切り替えを活用することで効率的な操作が可能になる。

60HEは、着脱可能なストラップ用のループが左右にあり、ループを取り外すことも可能である。

なお、60HE v2は有線専用となっており、無線通信には対応しない。これは、Wootingの「最大限の入力速度と安定性」を重視する方針によるものである。