それでは実際に飛ばしてみた感想をお伝えしましょう。AirSelfieはほかのドローンと同じように、スマートフォンに専用アプリケーションをインストールしてから、スマートフォンとAirSelfieを無線LAN接続し、その後専用アプリケーションを起動して操作します。

専用アプリケーションには、「selfie mode“beginner”」、「selfie motion control mode」、「standard control mode」の3つのモードが用意されています。

専用アプリケーションの起動画面。右上の歯車アイコンからは、3/5/10秒のタイマー撮影、3/5/10枚の連続撮影、low/medium/fastの飛行スピード、ファームウェアのアップデートなどが可能です

selfie mode“beginner”では、上昇下降、左右旋回、左右移動を操作可能です。前後移動はできません

selfie motion control modeでは指を上下にスライドすると上昇下降、左右にスライドすると左右旋回、中心の丸いボタンを押したままスマートフォンを前後左右に傾けると、その方向に機体が移動します

standard control modeは、左のサークルで上昇下降と左右旋回、右のサークルで前後左右への移動操作を行ないます

今回すべての飛行方法を試しましたが、筆者のオススメはselfie motion control modeです。standard control modeがもっとも直感的ではありますが、操作しながら右上の動画・写真撮影アイコンを押すのはかなり難しく感じました。

selfie motion control modeは端末を水平に保たなければならない点に慣れが必要ですが、プレビュー画面のどこをタップしても写真撮影が可能です。

selfie mode“beginner”は操作がわかりやすいですが、前後移動することができず、またピンポイントで操作アイコンを押さなければなりません。変な癖がつかないように、このモードは最初から使わないほうがよいと感じました。

AirSelfieの飛行から着陸まで、額に付けたアクションカメラで撮影してみました。操作感や機体の挙動をご確認ください

姿勢の制御が難しい!!

さて、飛行性能ですが少々不安定というのが率直な感想です。前後左右に移動している際には比較的安定しているのですが、操作していないときに機体がゆっくりとスライドしたり、2~3cmぐらいの間で揺れ続ける挙動が見られました。今回はフローリング、畳、芝生、模様のある座布団の上などで飛ばしてみましたが、ピタリと静止するようなホバリングはできなかったです。機体下部のビジュアルセンサーによる位置調整がチューニング不足なのだと筆者は予想しています。

飛行時間は正直物足りません。AirSelfieの公称飛行時間は約3分ですが、筆者が試したかぎりでは2分10~40秒前後ぐらいでした。まったく撮影せず、できるだけ操作しないなら公称飛行時間に迫る可能性はありますが、それでは飛ばす意味がありません。なお充電時間も実測してみましたが、こちらはフル充電まで27分前後という結果でした。

セルフィーカメラとしては肝心の画質についても厳しい評価をせざるをえません。室内光で撮影した際の露出時間は1/50秒。機体が動くことによるブレ、被写体が動くことによるブレが目立ちます。ISO速度もISO-352~411まで上がるのでノイズが気になりますね。また明暗差が激しいときの白飛びもマイナスポイントです。

屋外では比較的良好な発色、解像感を得られますが、被写体を中心に収めて撮影するのが非常に困難です。ちょっとした風で機体が揺れ、またスライドするので、なかなかよい構図を確保できません。最大10枚の連続撮影機能を活用して、下手な鉄砲も数打ちゃ当たる方式で撮影する形になりました。

AirSelfieで撮影。絞り値:f/2.8、露出時間:1/150秒、ISO速度:ISO-50

AirSelfieで撮影。絞り値:f/2.8、露出時間:1/344秒、ISO速度:ISO-50

AirSelfieで撮影。絞り値:f/2.8、露出時間:1/50秒、ISO速度:ISO-352

AirSelfieで撮影。かなり映像が揺れているので酔いにご注意ください。電子式スタビライザー機能がほしいところです

SNSに投稿する写真の幅を広げてくれるセルフィーカメラ

後半ちょっとネガティブな論調になってしまいましたが、セルフィーカメラとしての携帯性については他の追従を許しません。被写体を中心に収めるのが難しければトリミングすれば済みますし、連続飛行時間の短さも短時間の撮影と継ぎ足し充電を繰り返す使い方であれば気にならないでしょう。

また前述の通り、ファームウェアアップデート機能が搭載されており、今回の不満点のいくつかは将来的に解消される可能性があります。動画のブレ補正などをAirSelfie側で処理するのが難しかったとしても、近ごろのスマートフォンのパフォーマンスを活用してアプリ側で補正してしまってもよいですね。

プロペラの外周が完全にガードされたAirSelfieは人に怪我をさせたり、なにかを巻き込んで壊してしまう可能性がほとんどありません。室内で安心して飛ばせるというのは本製品の大きな美点です。

フライングトイとして飛行を楽しむのではなく、あくまでもつねに携帯できるフライングセルフィーカメラとして活用するのであれば、税込3万円台前半で購入できるAirSelfieはSNSに投稿する写真の幅を広げてくれます。

AirSelfieとパワーバンクの合計重量は326g。山登りなどの際に携帯していても大きな負担にはなりません