2018年度 売上高8兆8000億円達成へポイント

そして、最後に、2018年度の計画達成に向けて、気になる数字があるという点だ。

それは、2018年度の目標に掲げた売上高の8兆8000億円だ。2016年3月に、10兆円という目標を撤回し、8兆8000億円に引き下げたが、それでも、今回発表された2017年度の売上高目標が7兆8000億円であり、逆算すれば、2018年度には、1兆円の上乗せが必要になる。2017年度も約5000億円の上乗せを計画するという意欲的な数字だが、さらに、2018年度はその2倍の上乗せを見込むことになる。

ポイントはいくつかある。ひとつはやはり車載事業だ。

今回の会見では、2017年度の車載事業の目標を明確には示していないが、2016年度の1兆3000億円を、2018年度には2兆円へと引き上げる計画にあてはめれば、この2年間の全社増収計画の約1兆4500億円のうち、約半分の7000億円を、車載事業の成長でカバーしようとしていることがわかる。これを左右するのが、先に触れたテスラとの協業ということになる。

もうひとつは、買収した企業の連結による非連続での成長だ。

パナソニックは、1兆円の戦略投資を設定。これまでに、二次電池への設備投資や、フィコサのM&Aなどに、約4000億円を投資。今後は、車載電池工場への設備投資などを中心として、約4000億円の意思決定を完了。「現時点での候補案件を含めると、総額は1兆円を超えているが、優先順位をつけて、メリハリのある投資を実行していく」(津賀社長)とする。これらの投資案件が、意欲的な売上高の拡大にどう寄与するのかが注目点になる。その点で、今後、パナソニックが、2年間で1兆5000億円の売り上げを上乗せする計画の詳細を明確に示す必要があるといえるだろう。

津賀社長は、会見において、「2018年度の経営目標は堅持し、経営目標達成に向けてグループ一丸となって取り組んでいく」と宣言したものの、そこで示した数値は、営業利益4500億円と、純利益2500億円以上の2つだけ。8兆8000億円という数値については、スライドにも示さず、言及もしなかった。8兆8000億円という数値は、果たして、津賀社長には遠い数値に見えているのか、それとも射程距離なのだろうか。

2016年度の「実質増収」、そして、2017年度の「増収増益」を経て、創業100周年を迎える2018年度には、パナソニックはどんな姿になるのだろうか。今回の会見で打ち出した成長戦略を形にできるかが注目される。