日本ウインドサーフィン協会と富士通、ロームグループのラピスセミコンダクタは11日、IoTによるウインドサーフィン選手のセーリングスキル向上を目的とした実証実験を行うと発表した。実施期間は2017年5月11日~9月30日の約5カ月間。

3Dモデルやグラフでの可視化画面

この実証実験では、ラピスセミコンダクタが開発した小型装置をウインドサーフィンのセールに取り付け、収集したデータを富士通のクラウドサービスで解析し、セールの動きを3Dモデルやグラフで可視化する。

計測に用いる小型装置には、GPSセンサーと9軸センサーを搭載。セール操作の角度(レイキ角度、カイト角度、引き込み角度)と艇速や針路のデータを、同時に記録しクラウドに収集する。クラウド上に収集されたデータは、ロボットやドローンの姿勢制御にも用いられる姿勢推定アルゴリズムにより、波などの影響(振動ノイズ)を除去するなどの解析を行い、正確な角度を割り出す。こうした仕組みで、あらゆる艇速、針路の走行状態における、その時々のセール操作を照らし合わせ分析することが可能になる。今後、セールの動作以外に、ボードや選手の体の動きなどのデータも取得していく予定。

セール操作をデータで把握することで、選手は上位選手とのデータ比較から、動きの違いを3Dモデルや数値で確認することで、自らのセーリングの改善点を検証することが可能となる。今後、実証実験を進めていく上で必要と考えられる選手の姿勢データなどの取得についても、センサーを追加することで容易に統合的なデータ解析が実施できるという。

同活動については名称を「Project Windsurfing Lab(プロジェクト ウインドサーフィン ラボ)」とし、取り組みを推進する。まずは日本ウインドサーフィン協会の会員から実証対象選手を募り、選手やコーチがトレーニングで活用していくことを目指すほか、日本ウインドサーフィン協会協賛大会での体験会などを通して、日本のウインドサーフィンレベルの底上げや普及を図っていく。なお、約5カ月間の実証実験の後は、効果を検証した上でサービス化の検討を行うとのことだ。