富士通の軽量化への取り組みは、決して劣っていたわけではない。過去に遡れば数々の小型軽量のエポックメイキングなPCを市場に投入し続けてきた歴史からもそれは明らかだ。

そうしたノウハウは社内に蓄積されている。開発チームが、LAVIE Hybrid ZEROを解析した結果、富士通クライアントコンピューティングならではのノウハウを活用することで、より軽量化を図れる要素がいくつか見つかったという。

「(LAVIE Hybrid ZEROが)絞りに絞った作りになっていることは、内部構造や材料を見ただけでも理解できた。ただ、同じことをやっても勝つことはできない。これまでの開発では、軽量化に対しての遠慮があったが、やるのならば思い切って軽量化する。そこに富士通のノウハウを生かすことで、さらに極限までそぎ落とすことができると考えた」(石川マネージャー)。

集まって話をする石川マネージャー(左)、安藤マネージャー(中央)、河野マネージャー(右)

軽量化のポイントは「液晶」「バッテリ」「キーボード」

同社が軽量化において注目したのは、液晶、バッテリ、キーボードの3点だという。

液晶は、重量増に大きく影響するガラスや、内部の偏光板を極限まで薄くすることで軽量化を実現。従来製品に比べて、ガラス部分や偏光板、拡散シートをあわせた液晶部分で0.35mm薄型化し、従来の同サイズモデル「LIFEBOOK SH」シリーズに比べて約20%の軽量化を達成している。これまでにない液晶であるため、これをモジュールで調達するのではなく、島根富士通において、モジュールを組み立てる仕組みを採用した。

「あまりにも薄いために、製造工程に置くだけで割れてしまうという事態も発生した。だが、歩留まり率は従来モデルと同じ水準を維持することができた。島根富士通だからこそ実現できる生産体制だといえる」(河野マネージャー)。

島根富士通の生産ラインでは、作業者が取り出しやすいように、パネルを縦に置いていたが、それでは割れやすくなってしまうために、パネルを平置きしたトレイから生産ラインに供給するという仕組みを採用するなど、生産ラインでは、数々の工夫を凝らしたという。

また、天板には軽量化を実現するために、マグネシウムリチウム合金を採用。鍛造切削による製造を行い、従来のマグネシウムに比べて、14gの軽量化を実現した。「マグネシウムリチウム合金は、マグネシウムと同じ強度を持っているが、それに加えて、薄くした液晶の強度を保つために、補強材を入れて、剛性を保っている」という。

LIFEBOOK UH75/B1の天板(ブラックとレッド)。マグネシウムリチウム合金を採用することで、14gの軽量化を実現した