AppleのMacBookシリーズとiPadシリーズにおけるAir時代にもたらされたのは、アルミニウムの薄型ボディをまとい、モバイル性を最大限に取り入れる、というデザイン言語だった。

Air時代の終焉、つまりAirを冠するデバイスがなくなるということは、Appleのデザイン言語としての「Air」が既にスタンダードとなり、Apple社内のコンセプトとして、またAppleの顧客に対するマーケティングメッセージとしても、その役割を終えたということを意味しよう。

MacBook Airは近い将来、ラインナップから姿を消すと予想する

薄型、軽量、小型という表層デザインに加えて、4~5年はきちんと現役で動作してくれる耐用年数の長さも共通していた。MacBook Airの要素を取り入れたRetinaディスプレイ搭載のMacBook Proは、2012年モデルが未だにきちんと動作する。iPad Airも、最新の3Dゲームをプレーしない限り、今現在のメールやウェブ、SNSといった一般的な用途では、大きな問題に直面することはほとんどないだろう。

Airを名乗らないラインアップへと戻ったAppleが、次のキーワードにしているのが「Pro」だ。

そもそもMacBook Proは、インテルプロセッサに移行してから存在してきたが、MacBookシリーズもiPadシリーズも、標準モデルとProモデル、という構成へと転換している。ただ高性能・高品質で、価格が高いということだけでなく、MacBook ProにおけるTouch Barや、iPad ProにおけるApple Pencil対応など、インターフェイス面での新しさを追求している。

とはいえ、、それがProなのか。Airのようなデザイン言語へと「Pro」が昇華するかどうかは、これから注意深く見ていく必要がある。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura