KDDI傘下のUQコミュニケーションズがMVNOとして展開する通信サービス「UQ mobile」。その契約数はまだ30万に満たず、既に100万近い契約数を獲得するMVNO大手と比べ多いとは言い難い規模なのだが、他のMVNOは"脅威"ととらえているようだ。なぜUQ mobileが、そこまで多くのMVNOに警戒されているのだろうか。

注目度は急上昇だが契約数はまだ多くない

ここ最近、女優の深田恭子さんや多部未華子さんらが出演するテレビCMで注目度が高まっている「UQ mobile」。KDDI傘下のUQコミュニケーションズが、KDDI(au)のMVNOとなって提供するスマートフォン向けの通信サービスであり、昨年から今年にかけて急速に存在感を高めているMVNOの1つだ。

その理由はテレビCMだけではない。auのネットワークを利用するため対応するSIMフリースマートフォンがほとんど存在しないという圧倒的不利な状況下にありながら、音声通話を重視した「ぴったりプラン」を他のMVNOに先駆けて展開したり、型落ちながらも「iPhone 5s」を正規に取り扱ったりするなど、他のMVNOとは一線を画す施策を次々と打ち出すことで急速に人気が高まり、注目されるようになったのだ。

そして昨年には、大きな弱点だったSIMフリースマートフォンのラインアップを大幅に増強。今年に入ってからも「DIGNO W」「DIGNO Phone」などUQ mobileオリジナルのスマートフォンを拡充したり、大手キャリア同様、学生向けの割引キャンペーン「UQ学割」を打ち出したりするなどして、低価格ニーズの拡大に合わせる形で攻めの姿勢をとり続けている。

UQ mobileの契約数はテレビCM展開を開始した10月以降急速に伸びているそうで、MVNOの新規市場の30%獲得が見えてきたとのこと

UQ mobileに勢いがあるのは確かだが、先行する他のMVNOと比べると人気が出た時期が遅く、実は契約数はそれほど多いわけではない。KDDIは2月2日に決算説明会を実施しており、その場で同社の連結子会社が提供するMVNOの契約数が、昨年の12月末時点で35.7万契約であることを公表している。

昨年末時点でKDDIの連結子会社が展開しているMVNOは、大きく分けてUQコミュニケーションズや、沖縄地域のみでサービスを提供している「UQモバイル沖縄」が展開する「UQ mobile」、そしてケーブルテレビ利用者に向けてMVNOとしてサービスを提供している、ジュピターテレコムの「J:COM MOBILE」の2つに分かれており、その合計数が35.7万契約と見られる。ただJ:COM MOBILEは、今年の2月1日に契約数が10万を超えたと発表していることから、UQ mobileの契約数は昨年末時点で20~25万程度ではないかと推測される。

KDDIは2月2日の決算で、連結子会社のMVNOの契約数は35.7万であることを公表した