シンプルな商品とシンプルな説明
ワイモバイルの戦略はどのようなものか。それはシンプルな商品とシンプルな説明である。シンプルによって生み出される"わかりやすさ"を重視するのがワイモバイルの戦略だ。これまでもシンプルな料金プランで事業を展開してきたが、わかりやすい接客も求められているという。そこに合致したのがAndroid Oneというわけだ。
寺尾氏は「スマホ初心者、スマホデビューのお客さんにわかりやすい料金、わかりやすいサービス、わかりやすい端末を提供しないといけない。わかりやすく作るのが非常に重要」と"わかりやすさ"という言葉を何度も強調している。
その言葉の背景には、まだ説明のしづらさというものがあるわけで、販売の現場でも、いかにわかりやすく説明するかに腐心しているようだ。今回の新商品がAndroid Oneブランドとして統一され、なおかつ新製品を2端末としたのも、商品説明を行う上での"わかりやすさ"を最優先させたからにほかならない。
サービス・商品のわかりづらさは、接客時間の長時間化につながり、接客人員の増加など、人件費負担としても跳ね返ってくる。販売面の現状について寺尾氏は「ガラケーからの移行を望むお客さんが多く、そうした人にどうやってサービスや端末の魅力を伝えられるかに苦労している」と話す。
ワイモバイルが重視するグーグルのプログラム
そこで、ワイモバイルが新たに導入したのが、「Android Ambassador」プログラムだ。同プログラムは、AndroidやAndroid端末、グーグルのサービスに精通したスタッフを「Android Ambassador」として認定する取り組みだ。認定を受けたスタッフが、きめ細やかな接客を行えるようにする。
消費者にとっては直接的なメリットが見えない取り組みだが、これはワイモバイルにとっては重要な意味をもちそうだ。ワイモバイル自体も接客マニュアルのようなものは用意しているが、寺尾氏は「Andoridについてベーシックなところで理解している人は少ない」「(プログラムの活用により)使い方を理解することで、詳細に伝えることができる」などとコメントしており、接客を強化したい考えのようだ。
大手キャリアと対極を行くワイモバイル
Android One端末とAndroid Ambassadorプログラムでワイモバイルが目指すのは、料金プランのみならず、端末・サービスでもわかりやすさを追求していこうという姿勢だ。依然として、入り組んだ料金体系やキャンペーンを展開する傾向にある大手キャリアに対し、シンプルさとわかりやすさで攻めるワイモバイルは対極的な位置にいる。そうした価値観が広く受け入れられれば、「携帯電話のサービス=わかりづらい」という流れを変える存在になりえるかもしれない。