IT企業やICTに関わる企業が“ザワザワ”としている。というのも、文部科学省が2020年を目途に、生徒一人に一台の端末を配し、ICTを利活用した教育現場を築くと息巻いているからだ。全国には小学校が約22,000校、中学校が約10,000校、合わせて約32,000校あり、それらがタブレットやPCの“一人一台環境”を構築するとなれば巨大なマーケットが生まれる。いや、もう生じている。この巨大マーケットに新たなプレイヤーが参戦してきた。楽器メーカーの雄、ヤマハだ。
教育現場のICT化に際し、どのような分野に需要が生じるのだろうか。
もっともわかりやすいのがハードウェアだ。タブレットやPCといった、生徒が直接操作を行う端末、電子黒板やプロジェクターといったおもに教師が扱うであろう機材。こうしたハードウェアを教育現場に導入していただこうと、各PCメーカーなどは鼻息が荒い。
次に挙げられるのはソフトウェアの分野だ。一人一台、生徒に端末が行きわたっても、教育向けのアプリが導入されていなければ学習での効果は半減してしまう。この分野に関しては、ソフトウェアメーカーはもとより、教科書出版社や塾・予備校といった企業が虎視眈々と市場をにらんでいる。
そのほか、教員に対するICT取り扱いおよび端末を使った授業のノウハウに関するレクチャー、多数の端末を支える通信環境や電力供給といったインフラなど、教育のICT化が生み出す需要は広範にわたる。
「Smart Education System」の第1弾は3種のアプリ
では、ヤマハはどの市場に参入するのだろうか。ズバリ、2番目に挙げたソフトウェアの分野である。しかも、楽器メーカーならではの視点ともいってよく、音楽の授業でのICT活用を宣言した。
具体的には「ボーカロイド」を利用した教育向けアプリや、楽器の演奏方法を学べる音楽教材ソフトなどを提供するとしている。ヤマハは同社が提供する教育向けICT機材などを「Smart Education System」と名づけ、今回はその第1弾と位置づけた。
今回リリースされたのは「ボーカロイド教育版」、ギター演奏が学べる「ギター授業」、琴の弾き方をレクチャーする「琴授業」の3種。ヤマハならではのラインナップといえるだろう。