どこからいこうか迷うくらい便利機能満載なのだが、最初はSiriだ。AirPodsには、EarPodsのようにケーブルに装着されたコントローラーがない。ボリューム上げたり、再生を止めたり、曲をスキップしたりする物理的なボタン類がないのだ。では、それらの操作をどうするか?となったとき、Siriにご登場願うというわけ。制御関連以外でも、Siriから電話をかけたり、地図検索をしたりといったお馴染みの機能が使える。電話がかかってきたときは、Siriが教えてくれるので、本体のダブルタップで電話に出られるようになる。通話を終了するには、またダブルタップすれば良い。ダブルタップはSiriを起動する際のアクションともなる。電話に出ている、電話をとる以外の状況で装着したAirPods本体をポンポンとダブルタップするとこれでSiriが動き出すので、話しかければ良い。このダブルタップは「再生/一時停止」をアサインしたり、「オフ」にすることもできる。

Siriから電話をかけたりとったりできる

ダブルタップの挙動はSiri以外に「再生/一時停止」「オフ」をアサインできる

しかし、である。Siriになんでもやらせりゃいいのはもちろんだが、満員電車などで声を出すのが憚られるような状況ではどうしたらいいか? 仕方なくバッグからiPhone取り出して……でもいいが、そんな時に活躍してくれるのがApple Watchなのだ。Apple Watchの「ミュージック」アプリから再生/一時停止、曲のスキップ、音量のアップダウンが行えるようになっている。この辺、Appleは上手いなあと感じるところ。iPhoneを軸に、AirPods買った人をApple Watchへという導線がキッチリ敷かれているのである。事実、iPhone買うと、他のものもいろいろ欲しくなるし、それらナシではいられなくなる。扉を開けると、向こう側には大きなランドスケープが広がっているのだ。

Apple Watchの「ミュージック」アプリで各種制御が行える

アタマのほうで「『今、聴いている』『今、話している』ことを認識する」と書いたが、これらについて詳説しよう。AirPodsはケースから取り出せば、電源が入り、直ちに使える状態となる。耳に挿入すると、起動音が聞こえてきて、オーディオを再生すれば音が流れてくる。もし、iPhoneのスピーカーから音を出してる状態で、耳に入れると、起動音はせず、そのままデバイスからの音声が自動でAirPodsに橋渡しされる。AirPodsを片方外すと再生が一時停止し、両方外すと再生が停止する。これらは、光学センサーとモーション加速度センサーによって機能する。つまり、穴に入った、出た、という状態をセンサーが認識しているのだ。なので、片方を取り出し、一時停止の状態になっているところ、取り出したほうを掌で握り、暗くしてやると、穴に入ったと勘違いして再生が始まるのである。

2個で1個のような挙動をするAirPodsだが、片方だけでも使用できる完全独立型のワイヤレスイヤホンということになる。これは彼氏、彼女と聴いてる音楽を「半分こ」するときに使える。使ってる人が誰なのかは関係ないので、誰かの耳穴に入れば、音が聞こえてくるのだ。他にも、通話している状況で、三人目が入ってくるという場合にも利用できそうだ。ただし、マイクはどちらか一方しか機能しないので、いわゆる3P通話をするには向いていない。

「設定」→「Bluetooth」で「マイク」の設定ができる

この3P通話ができない仕様もセンサー類の機能と関係がある。「設定」→「Bluetooth」で行うAirPodsの設定項目に「マイク」があるが、ここでは「自動的にAirPodsを切り替え」「常に左のAirPod」「常に右のAirPod」と3パターンで使用できる。どちらか一方に固定した場合は言わずもがなだが、自動で切り替える場合は、先にセンサーが感知したほうが優先となるようになっている。周囲のノイズを取り除いて話者の声だけを拾うようにもなっているが、これはビームフォーミングマイクロフォンで指向性(どの範囲の音を拾うかの設定)を変えたりしているからだろう。