キャンペーンのメリットは?

今回のキャンペーン、ネスレ日本にとっては述べるまでもなく、キットカットの販売につなげたいという狙いがある。しかし、現在の受験シーンは推薦・AO入試の拡大により、受験をしない生徒も増えており、キャンペーンの意味合いは年々薄れているように見えてしまう。その点についてネスレ日本 コンフェクショナリー事業本部マーケティング部長 槇亮次氏は、受験シーズンのみならず「つらいときのそばに、いつもいるキットカットというブランドイメージをつけたい」とする。

写真左:LINE 広告ビジネス開発部 事業部長 古賀美奈子氏、写真右:ネスレ日本 コンフェクショナリー事業本部マーケティング部長 槇亮次氏

確かに辛いときの記憶は強く残る。そうした場面で心を支えてくれたものは、後々、同じチョコレートでも、キットカットを選ぶ理由付けになるだろう。懐かしんで口に含んでみたくなることもあるはずだ。

興味深いのは、LINEにも大きなメリットがあることだ。高校生のLINE利用率は9割を超えているとされ、キャンペーンに協力しても新たな高校生ユーザーの獲得にはつながりにくそうだが、LINEのアクティブ利用率の向上は期待できそうだ。そして何より、LINE MUSICのプロモーション活用も可能にしたことが一番大きいのではないだろうか。

今回のキャンペーンのうち、LINEスタンプ、LINE LIVEはこれまでにも企業コラボに活用されてきた。しかし、LINE MUSICは今回が初であるという。プロモーション活用としてLINE MUSICが使えるわけだ。今後については、広告云々よりも「LINE MUSICは世界観を大事にしている」(LINE 広告ビジネス開発部 事業部長 古賀美奈子氏)とし、すぐにマネタイズのツールにする考えはないようだが、新たなプロモーションの選択肢として、その可能性を世間に示せたのは大きなメリットといえるだろう。

こうして見ると、キャンペーン主体のネスレ日本より、LINEに大きなメリットがあるように感じてしまう。そう思うのは私だけだろうか。