Chromecast Ultraの最大のウリである4K HDRコンテンツはどうすれば楽しめるのか。本稿の取材・執筆時点(2016年12月上旬)には、NetflixとYouTubeがChromecast Ultraでも見られる4K HDRコンテンツを公開していたので、それぞれ試してみた。

Netflixは今年から『火花』『デアデビル』などの連続ドラマシリーズのほか、『リディキュラス・シックス』『ドゥ・オーバー:もしも生まれ変わったら』などの映画作品を4K HDR化して次々とラインナップに加えている。

手始めに『リディキュラス・シックス』を再生してみたところ、なぜか映像がいまひとつしっくりとこない。ブラビアにはAndroid TVとNetflixの視聴機能が搭載されているので、単体でNetflixアプリを起動した状態での4K HDR動画と見比べてみたが、Chromecastの映像は明らかにHDR感が足りない。そこでテレビやChromecastの色んな設定を確認してみたところ、テレビ側の設定「外部入力設定」→「HDMI信号フォーマット」が「標準フォーマット」になったままだった。これを「拡張フォーマット」に切り替えたところ、Netflixアプリの作品紹介の画面上に表示されるアイコンが、通常の「ULTRA HD」から「HDR」に切り替わり、キレのある4K HDR映像がChromecastからでも見られるようになった。

Netflixで公開されている4K HDR対応の映画「リディキュラス6」をストリーミング。HDMI出力の設定が間違っていたため、当初はアイコンが「ULTRA HD」のままだった

ブラビアの設定画面から「HDMI信号フォーマット」を「拡張フォーマット」に変更

Netflix側の表示も「HDR」に切り替わり、精彩感の高い映像がテレビの画面上に表示された

Chromecast Ultra自体はセットアップも簡単、アプリから映像コンテンツを映し出すところまでは難なく楽しめてしまうデバイスだが、もう一歩踏み込んで4K HDRを楽しもうとすると、実はあまりガイダンスや説明が少ない。筆者の場合、テレビの設定が必要だったわけだが、特にChromecastの側からその注意を促されることも無かったので、HDRコンテンツを見慣れていなければ「これが4K HDRかあ。ふうん」と流してしまっていたかもしれない。その辺りの使い方の注意点をもう少し説明として用意してもらいたいと感じる。いずれにせよ、組み合わせるテレビのHDRまわりの機能をしっかりと把握した上でセットアップする必要がありそうだ。

しっかりとHDRの映像が見られるようになったうえで比べてみると、やはりHDRの映像はすごい。明暗の鮮度が明らかに高く、色合いも臨場感にあふれている。映像の中に漂う"空気の透明感"みたいなものがより生々しくリアルに反映されるのだ。映像の中の舞台と分かっていながら、自然と作品の世界に引きこまれてしまう。映像をつくったクリエイターの腕前や嗜好がよりわかりやすく現れるというものだ。