群馬事業場には3つの建物があり、オフィスビルにはオフィスとコールセンター、工場棟にはPCリユースの工程とNEC製品のマザーボード修理や装置修理、そして部品倉庫には群馬事業場や各地の拠点、提携店などに卸している保守部品が保管されている(一部の部品は工場棟にも保管されている)。今回のオフィスツアーではこの建物の中を移動して、マザーボード、パソコン本体や周辺機器の修理過程や部品倉庫を見学した。

廊下には日本のパソコン黎明期から初期に市場をリードした16bitパソコンの傑作機「PC-9801」などが展示されており、筆者のような老害、もとい古参パソコンマニアには懐かしい限り

マザーボードの修理を内製化

マザーボードはもともと生産を委託していた海外のODMメーカーに委託していたが、海外で修理するため修理にかかる時間が長く、費用も高くなっていた。また新規開発生産がなくなったODMはモチベーションが下がり、パーツのデリバリーや品質が悪化する、ODMが修理を中断すると保守部品が手に入らないなど、ODM先の都合で振り回されることが多かった。

しかし修理を内製化することで修理品質や修理速度が向上し、故障傾向なども反映して開発部門にフィードバックできるなど、製品の品質向上にも役立っている。修理にかかる費用や速度も大幅に低減し、PC事業全体に好影響を与えているとのことだ。

全体がうまく回る「13分」の時間

NEC製品とレノボ製品は構成されるパーツ類もすべて異なるため、それぞれ別のラインで作業されている。保守部品も別々の倉庫に収納されているが、NEC側の倉庫が8,600平方メートル、31,000種類のアイテムが140万個保管されている。

レノボ側はこれより小さいものの、それでも1,510平方メートルに12,000アイテム、83,900点が保管されている。いずれも番号付きできちんと管理されており、修理担当からの依頼があってから約13分で届くようになっているという。

倉庫には数万点からの保守部品が常時保管されている。在庫管理を考えただけでもゾッとする

13分というのは案外ゆっくりしているようだが、これは早すぎると逆に部品が溜まってしまい、修理効率が下がるとのことで、必要なときに必要なパーツが届くように調整した結果なのだという。つい素人は早く届ければいいと思いがちだが、ここまで効率を考えて作業が流れるようにしているというのは、まさに目から鱗だ。