I/O周りのインターフェースの話に移ろう。ポートはThunderbolt 3と3.5mmヘッドホンジャックのみ。SDカードのスロットも電源供給のMagSafeもなくなった。Thunderbolt 3では、最大40GbpsのスループットでThunderbolt 2の2倍の帯域幅を利用できる。DisplayPort、USB 3.1 Gen 2(最大10Gbps)、充電ポートの役割をこれだけで果たすので、各種変換アダプタがあれば、外部機器との接続もさほど問題にはならないだろう。

Thunderbolt 3ポートは左右に2基ずつ。3.5mmヘッドホンジャックは本体右側に

13/15インチともに、左右に2基ずつ、計4基のThunderbolt 3ポートを備えるが、注意がひとつ。13インチモデルと15インチで、若干性能が異なるのだ。13インチモデルでは、右側2つのポートはPCI Expressの帯域幅が少なくなっている。CPUやグラフィックスもあわせて、ラインナップの構成上での差別化ということだろうか、もし、最高速での体験をしたいということなら、15インチ一択ということになる。15インチモデルなら、5Kディスプレイも2台まで接続が可能となっている(13インチモデルでは、5Kディスプレイの接続は1台のみ)。

前述の通り、Thunderbolt 2、USB 3.1のデバイスにもアダプタ経由で接続が可能だ。なお、Apple Storeでは純正のアダプタをはじめ、USB-CとThunderbolt 3の各種アクセサリを年内いっぱいまで特別価格で提供している。新しいMacBook Proを購入するなら、この機会に一気に揃えてしまったほうが断然おトクだ。

電源供給はどのポートからも行える

Thunderbolt 3ポートについて、もうひとつ。電源供給のMagSafeがなくなったので、給電もThunderbolt 3ポートから行う。Appleはこれを「充電」に対応としているのが興味深い。ワイヤレス環境でのインターネット閲覧が最大10時間と謳い、バッテリーライフの長さをウリにしているというのもあるのだろうが、これまでMacBook Airが担ってきた役割をMacBook Proにも、そのための薄さと軽さなのだと強調しているかのようだ(実際、モバイル環境で活躍する場面がより多くなるだろう)。Thunderbolt 3では、ひとつのポートで本体に給電を行いながら、空いているほかのポートに、例えばiPhoneを接続して充電を行うことができる。MacBookではUSB-Cのポート(Thunderbolt 3でないことに留意)がひとつなので、本体に給電している間はアダプタをかませない限り他のデバイスを接続できなかったが、新しいMacBook Proではそういうことはない。また、本体への給電はどのポートからも行えるのだが、これが地味にポイント高い。筆者はライブパフォーマンスでの現場の仕事が多いのであるが、電源の延長ケーブルが足りなくなって、Macの電源アダプタから延びたケーブルがピンと張ったままで作業しなければならないということがしょっちゅうあった。ああ、MagSafeが本体の右についていれば30cmくらいマージンがあるのにと何度思ったことか。

足に引っ掛けたとき、本体からケーブルが外れないのはデメリットじゃないかという人もいるかもしれないが、プロの現場では、簡単に抜けないコネクタで各々のデバイスが接続されてるケースのほうが多いので、筆者にとってはあまり気になるポイントではないように感じられた。ホビーで購入された方は恐らく本体から何もケーブルが延びてない状況で使うことが通常の利用法となるだろうからそう思われるのかもしれないが、ヘビーな作業をさせないのが前提だと自覚しているならバッテリーで運用するという風に発想を変えてみてはいかがだろうか。それで何の問題もないはずだ。

3.5mmヘッドホンジャックはオプティカルが利用できなくなりアナログ出力だけになった。プロの現場で利用されるということで残されたようだが、実際のところどうだろう? テープ起こしをするのに使う人は使うというイメージなのだが、碌にタイピングできない筆者にはその利用シーンはなく、移動の新幹線で音のチェックということはたまにあるにせよ、ヘッドホンのケーブルは大抵、オーディオインターフェースや卓から延びているので、ここは思い切って廃止でも良かったのではないかという気がしないでもない。

第2世代のバタフライ構造が採用されたキーボードと大きくなったトラックパッド

続いてキーボードとトラックパッドをチェックしていこう。キーボードも再設計され、第2世代のバタフライ構造が採用された。MacBookで採用された初代のバタフライ構造キーボードはストロークが浅いというところに不満を抱く向きがあったようで、第2世代キーボードではそれが深くなった。MacBookのキーのタッチはMIDIパッドコントローラーのようで、楽器っぽさ、スイッチっぽさが良いなと思ったのだけれど、多くのユーザーは「コンピュータ」っぽさを求めているということなのだろうか。筆者の場合、前述したとおり、タイピングができなく、本稿も原稿用紙に書いたものを個人的に雇ってるアシスタントに渡し、「増やせられる」みたいなヘンな日本語を「増やせる」に直してもらってたりしているので、基本的にキーボード関係ないっちゃ関係ないのだ(制作の現場で重要なのはテンキー)。もっとも、普遍的な書記狂の時代にあっては、死活的な内容の不在にも関わらず、物を書きたいという欲望に皆、取り憑かれているので、テキストを入力するための機構をそのニーズにあわせるのは得心のいくところではある。トラックパッドもキートップと同じく大きくなっている。こっちは巨大化と表現するのが適切かもしれない。ジェスチャーを多用する向きには歓迎される強化ポイントといえるだろう。ここまで大きくなると、打鍵する際、誤って触れてしまいそうだが、その場合の接触を誤認しない機構が働いているようだ。