説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『「ポートレートカメラ」のボケはどうやって出しているの?』という質問に答えます。

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iPhone 7 PlusのiSightカメラ(リアカメラ)は、iPhoneとしては初めてデュアルレンズ仕様となっています。12メガピクセルのカメラモジュールを広角と望遠の2基搭載することで、最大2倍の光学ズーム撮影が可能となりました。なお、広角レンズは35ミリ換算で28ミリ相当、望遠レンズは56ミリ相当です。

さらにiOS 10.1では、デュアルレンズを生かした新機能「ポートレートカメラ」が追加されました。広角/望遠2基のレンズを使い、被写体と背景の距離を9段階で識別、背景部分にぼかし処理を施します。ソフトウェアアップデートで追加された機能ということからもわかるとおり、それらの処理はソフトウェアレベルで実行されます。

一般的に背景がボケた写真を撮ろうとすると、一眼レフカメラのように焦点距離が長く明るいレンズを必要としますが、ポートレートカメラ機能では被写界深度が浅い状態をソフトウェア的に作り出すため、そのようなレンズを必要としません。処理はほぼリアルタイムで進行するため、カメラアプリで確認しながら撮影できます。

ただし、周囲がある程度明るいこと、被写体の動きが少ないこと、被写体までの距離が40~240センチほど必要といった撮影に際しての条件があります。「ポートレート」という機能名のとおり、肖像写真用と認識しておくべきでしょう。

エッジの判定処理に難があるのか、被写体と背景の境界部分がにじむなどの不具合も確認されています。ソフトウェアによる処理であるうえ、ベータ版という位置付けということもあり、今後の改良が期待されます。

デュアルレンズ被写体と背景の距離を9段階で識別、背景部分にぼかし処理を施すことで「ポートレートモード」が実現されます