デンソーと東芝は10月17日、高度運転支援および自動運転技術の実現に向け、従来から両社がそれぞれ自主開発を行ってきた画像認識システム向けの人工知能技術(Deep Neural Network-Intellectual Property(DNN-IP))に関し、共同で開発を行うことに合意したと発表した。

DNNとは、人間の脳の神経回路をモデルとしたアルゴリズムで、人間と同等以上の高精度な認識処理の実現が期待されている。自動運転の実現に向けては、多様な障害物や標示、車両が走行するためのフリースペース、また危険が予想されるシーンの認識など、さまざまな状況の認識が必要となるが、従来のパターン認識や機械学習による画像認識では、認識が必要な対象物を人為的に特徴づけ、あらかじめ学習させる必要があった。これに対し、DNNを用いた画像認識は、自ら対象物の特徴を抽出し学習することができ、多様な対象物の認識、および検知精度の飛躍的な向上を実現する。

上が実車の画像で下がDNN-IPを用いて対象物を判別した画像

デンソーは、今回の共同開発によって、DNN-IPの実用化を加速させ、画像センサーに応用することにより、高性能な高度運転支援、自動運転システムを実現するとしている。一方の東芝は、共同開発したDNN-IPを専用ハードウェア化し車載用画像認識プロセッサー"Viscontiシリーズ"などに実装することで、認識処理の性能向上および、DSP(Digital Signal Processor)やGPU(Graphics Processing Unit)搭載システムよりも低消費電力での画像処理を実現したい考えだ。