ハイエンドではなくなった「Xperia X Compact」

だが、そのコンパクトモデルにも変化が見られるようになってきた。そのことを象徴しているのが、これまでコンパクトモデルを継続的に提供してきた、ソニーモバイルコミュニケーションズの新製品である。

ソニーモバイルは9月1日(現地時間)、ドイツ・ベルリンで開催された家電の総合見本市イベント「IFA 2016」に合わせる形で、Xperiaシリーズの最新スマートフォン「Xperia XZ」と「Xperia X Compact」を発表した。これら2機種は、いずれもソニーモバイルが得意とするカメラ機能を大幅に強化したスマートフォンだが、大きな違いはサイズと性能の違いにある。

Xperia XZは5.2インチのディスプレイを採用したハイエンドモデルだが、Xperia X Compactは、4.6インチディスプレイを採用したコンパクトモデルであり、性能的にもミドルクラスといえるものだ。そしてこの"ミドルクラス"であることこそが、同社のコンパクトモデルの戦略変化を象徴している。

IFAに合わせて発表された「Xperia X Compact」は4.6インチディスプレイのコンパクトモデルだが、性能的に見ればミドルクラスで、防水・防塵にも対応していない

ソニーモバイルのコンパクトモデルは従来、ハイエンドモデルの性能を可能な限り保ちながら、コンパクトサイズに凝縮した「ハイエンド・コンパクト」と呼ぶべきものであった。しかしながらXperia X Compactは、Xperia XZではなく国内未発売のミドルクラスのモデル「Xperia X」をベースとしており、性能的にミドルクラスであるのはもちろん、防水・防塵にも非対応であるなど、従来の同社のコンパクトモデルとは大きく異なる内容となっているのだ。

Xperia X Compactは既に欧州では発売されており、日本市場への投入は明確にはされていない。しかしながら日本で重要視される防水・防塵性能に対応しないこともあり、少なくとも現状のスペックのまま、日本市場で販売される可能性は低いと考えられる。