米AMDは5日(現地時間)、"Bristol Ridge"の開発コード名で知られる第7世代AMD AシリーズAPUについて、OEMメーカー向けの出荷を開始したと発表した。LenovoとHPから最初の"Bristol Ridge"搭載製品が投入されるという。

第7世代AMD AシリーズAPUをOEM向けに出荷

"Bristol Ridge"こと第7世代AMD AシリーズAPUは、「COMPUTEX TAIPEI 2016」にて正式発表された最新APUで、CPUコアに最大4基の"Excavator"コア、GPUに最大8基のRadon Graphicsを統合するほか、新たにDDR4-2400メモリをサポートする。

第7世代AMD AシリーズAPUの概要(「COMPUTEX TAIPEI 2016」に合わせて開催された説明会で公開された資料より)

プロセスの最適化や新たなクロック制御技術により、前世代製品と比較して、シングルスレッドのCPU性能は最大17%、グラフィックス性能は最大27%向上。また、電力効率を高め、前世代のTDP95W製品のパフォーマンスをTDP65Wで実現するとしている。

今回出荷を開始したのは、「A12-9800」「A12-9800E」「A10-9700」「A10-9700E」「A8-9600」「A6-9500」「A6-9500E」「Athlon X4 950」で、製品名の末尾に「E」が付くものはTDP35Wの低電圧版となり、フォームファクタに合わせて柔軟に選択できるという。

デスクトップ向けに提供する製品ラインナップ

AMDが公開した資料によると、「A12-9800」を同じTDP65Wの「Intel Core i5-6500」と比較すると、「PCMark 8 Home Accelerated」で同等、「3Dmark 11 Performance」で約2倍のパフォーマンスを実現。加えて、TDP35Wの「A12-9800E」も「Intel Core i5-6500T」と比べ、「PCMark 8 Home Accelerated」で17%、「3Dmark 11 Performance」で88%性能が上回るとしている。このほか、マルチメディア機能として4K解像度のH.264およびH.265/HEVCデコードなどをサポートする。

「A12-9800/9800E」と「Core i5-6500/Core i5-6500T」の性能比較

こちらは「Core i5-6600K/Core i5-6500」との電力効率比較

4K解像度のH.264およびH.265/HEVCデコードなどをサポート

「COMPUTEX TAIPEI 2016」に合わせて開催された説明会で、クライアント製品の技術開発を担当するJoe Macri氏が「デスクトップ版APUは、OEM版が先行するが、一般市場向けにも供給予定だ」とコメントしており、今後自作PC向けにも提供されるものとみられる。

「AM4」プラットフォーム向けチップセットも発表

合わせて、AMDは第7世代AシリーズAPUや、新x86コア"Zen"採用のCPU"Summit Ridge"で導入するSocket AM4に対応したチップセットも発表。メインストリーム向けに「B350」、エントリー向けに「A320」、スモールフォームファクタ向けに「X/B/A300」を用意。従来の「990FX」や「A88X」に相当するようなエンスージアスト向けのものも予定するが、こちらの詳細については今後改めて発表するという。

AM4はエントリーからハイパフォーマンスまでスケーラブルなプラットフォームだという

エンスージアスト向けはまだ明かされていないが、メインストリーム向け、エントリー向け、スモールフォームファクタ向けのチップセットが公開された

新チップセットでは、チップセット自体のTDPを低減、AM3+プラットフォームのA970の19.6W、FM2+プラットフォームのA78の7.8Wと比較して、B350では5.8Wに抑えた。

チップセットのTDPを大きく削減

第7世代AシリーズAPUでは、12レーンのPCI Express 3.0を備えるが、このうちグラフィックス用として使えるのは8レーン、それ以外はSATAやNVMe対応ストレージ向け、あるいはx2のPCI Expressスロット向けなどベンダ側で決めることができるという。

第7世代AシリーズAPUとチップセットでサポートされるインタフェース

チップセット側では、PCI Express 2.0やUSB 3.1 Gen2、USB 3.1 Gen1、USB 2.0、SATA/SATA Expressをサポート。「B350」と「A320」ではUSB 3.1 Gen2とPCI Express 2.0のレーン数が異なる。