スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「コア数」についてです。

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スマートフォンにかぎらず、パソコンなど汎用的な演算能力を持つコンピュータには中央演算装置(CPU)が搭載されています。その中心部分が「コア」であり、複数のコア(メニーコア)を搭載することで処理性能を高めることが現在のCPU設計におけるトレンドとなっています。

かつてのCPUは、コアの性能を向上させる -- 処理速度は1秒間に刻む信号(クロック)の数を意味するクロック周波数の高さに比例する -- ことが設計上重視されていました。しかし、クロックを上げると処理性能が向上する反面発熱量が増大し、ファンの位置など放熱設計が複雑化するため、スマートフォンのような薄さと軽さが重視されるデバイスに最適とはいえません。

そこで、複数のコアを搭載し並列処理を進めることで性能向上を図る、メニーコア型CPUが主流となってきました。メニーコアに最適化されたOS/アプリを用意すれば、処理を複数のコア間で分担/並行処理し、高いパフォーマンスを発揮することができます。

現在、スマートフォンやパソコン向けのCPUでは、1コア(シングルコア)よりは2コア(デュアルコア)、3コア(トリプルコア)、4コア(クアッドコア)、8コア(オクタコア)……とコア数の増加により性能向上を図ることが主流です。コア数は処理性能に正比例しませんが、最近のOS/アプリはメニーコアへの最適化が進められているため、コア数の多さが性能の高さにつながることは確かです。

なお、4コア以上は多角形から名前をとることが通例となっています。いまのところ採用するスマートフォンは存在しませんが、将来はデカコア(10角形=デカゴン)、ドデカコア(12角形=ドデカゴン)、ヘキサデカコア(16角形=ヘキサデカゴン)といったメニーコアCPUが登場するかもしれません。

Quallcomm Snapdragonのように、スマートフォン向けSoC/CPUはメニーコア化が進んでいます(写真はイメージです)