音声放送でURLを配信
ヒントが画期的なのは、ラジオ放送を受信すると同時に、ラジオ局から送られてくるURLを周囲のスマホに配信できる点だ。ラジオ局が音声放送に乗せてDTMF音(ピ・ポ・パという電話のダイヤル音)を流すと、ヒントの「BLEビーコン」はダイヤル音が持つURL情報をキャッチし、周囲のスマホにBluetooth経由でURLを送り、画面に表示させることができる。
この機能により、ラジオ放送はどのように変化するのだろうか。吉田アナによると、例えばスタジオに来たゲストの写真をインスタグラムなどにアップしてURLを配信したり、店舗からの中継では地図情報をURLとしてリスナーに届けたりできるという。
BLEビーコンを搭載したラジオ受信機が普及すれば、ラジオCMの在り方にも変化が訪れるかもしれない。URLを配信できるようになれば、「続きはウェブで」といったような広告手法の効果が高まる可能性があるからだ。
新機能でラジオの媒体価値が向上?
ラジオCMを聞く人は多くても、その商品・サービスを実際にウェブ上で検索するのは、そのうちの何割かに限定されてしまう。URLを送ることができれば、ラジオ放送ではリスナーをワンステップでウェブに誘導することが可能となる。ラジオ番組によっては、アーティストがゲストに来たときに、楽曲の配信ページにリスナーを誘導するような使い方もできるだろう。BLEビーコン搭載ラジオが広まれば、ラジオの広告媒体としての価値が高まるかもしれないのだ。
「ラジオのIoT化」に向けたニッポン放送の挑戦が成功するかどうかは現時点で未知数といわざるを得ないが、ここで注目したいのは、ニッポン放送がコストを掛けずに新しい放送にチャレンジしている点だ。BLEビーコンにURLを送る仕組みは、あくまで音声放送に乗せてダイヤル音を流すに過ぎない。これは演出の範囲内でどうとでもできる部分なので、この仕組みが普及した場合はダイヤル音を大いに活用すればいいし、もし普及しなければ、ダイヤル音を流さないという選択肢も残されている。つまり、今回の挑戦で放送設備の増設などに関する投資は発生していないのだ。