「世代も変わっているので、準備に1年かかり、始動したときにはすでに1年ずれてしまっていた」と手探りでスタートしたプロジェクト。商品化を皮切りにミュージカル、新作アニメと次々にプロジェクトを始動させた。
特にセーラームーンの復活を印象付けたのは玩具を模したフェイスパウダーだったという。少女から大人の女性になった世代に向けて化粧品にしようと作ったコンパクト。大人でも納得する品質のものをと有名な化粧品ブランドと同じメーカーで中身を作るなど、品質にもこだわった商品となった。バンダイがネット通販限定で販売を開始すると、当初の計画の10倍を売り上げだという。
さまざまな企業とのコラボレーションを実現しているセーラームーン20周年プロジェクト。今までに多くの企業とグッズなどでコラボレーションしているという。実は、ここに面白い現象が起きている。
広がる企業とのコラボ
コラボレーションについては、商品化や新作アニメがスタートしてから問い合わせが多くくるようになったという。「企画を持ってきてくださるのは大体セーラームーン世代の女性社員の方です。各企業にセーラームーンをみて成長してきた女性が、戦力として育っている。ありがたいことです。そういう方々はどんなに自分がセーラームーンを好きかという思いを込めてくれるので、『この人に任せれば大丈夫』って」。ちなみにプロジェクト本体にもセーラームーン世代の女性が多く、彼女たちのアイデアがグッズなどに生かされているという。これほどまでに“好き”という熱量でできる事業はそうないだろう。「DNAに刷り込まれている」といった小佐野氏の言葉も頷ける。
大成功のまま走り続けているようにみえるセーラームーンプロジェクトだが、小佐野氏によると今までに読み違いもあったという。「最初の頃は過去のデータがなかったので、失敗も多かったのです。今だとデータが積み上がってきているのである程度わかるようになりましたが、それでも読み違えは起きますよ」と。“ファンの乙女心をいかに読み解くか”がこのプロジェクトのキモといえよう。
「これからもずっと愛されるキャラクターにすることが目標」と小佐野氏。20周年の記念本の出版が予定されている。マンガ、アニメ、ミュージカル、商品化、そして今回のセーラームーン展の内容などを盛り込んだまさにメモリアルブックとなる予定。さらに来年には25周年を迎えるため、海外でのイベントなども検討中とのことだが、詳細はまだ言えないという。ますます目が離せない。