ライト層が帰ってきているとの実感は、グッズの売れ行きに顕著に出ている。セーラームーン展のグッズ売り場には、限定グッズに加え、会場外でも買えるものもそろえているが、そういったものの売れ行きがよく、興味の1つとして認識しているライト層が、展示をきっかけにグッズの存在に気づいたのだとみているという。

6月14日午前11時半ごろ。グッズ売り場に入るための列

美少女戦士セーラームーンとは

1992年のマンガ連載開始とほぼ同じ時期にアニメ化された「美少女戦士セーラームーン」。5年間にわたるマンガの連載で全18巻の総発行部数は1200万部、連載していた当時には、「なかよし」の発行部数を史上最高の205万部に押し上げる人気の高さを誇った。その後ミュージカルにもなり、キャラクターグッズでは1000億円以上も売り上げたという。人気は国内にとどまらず、17言語以上に翻訳され、翻訳版のマンガは700万部以上売り上げた。アニメについては今までに50カ国以上で放映されている。マンガからアニメ、実写、ミュージカルとメディアミックス成功の先駆けとなった作品だ。

伝説はここから

1991年12月、「なかよし」で連載が始まり、その直後にテレビ朝日系でアニメの放映が始まったセーラームーン。原作が1年以上続いた後にアニメ化されるのが通例となる中、異例の展開だった。1991年6月に「なかよし」別冊の「るんるん」に掲載された武内直子氏の読みきりマンガ『コードネームはセーラーV』を読んだプロデューサーからオファーがあったことからアニメが誕生した。

原作の1話をカラーにして展示している部屋。美少女戦士セーラームーン展

後に5年間も放映されることになったセーラームーンだが、当時は読みきり1本しかなく連載用のストーリーも決まっていない状態。翌年3月にスタートするアニメは、9月にはプロジェクトがスタートしないと間に合わない。このため、9月までに恋愛要素などを追加してストーリー作りを間に合わせた。しかし、キャラクターが固まったのはさらに後で、最終的に原稿があがったのが11月の終わりだったという。

セーラームーンチーム再集結の理由

セーラームーンは90年代、原作の講談社、アニメの東映動画(現 東映アニメーション)、玩具のバンダイと3社がチームになって動いたという。アニメ化するとそれにあわせてグッズを出すが、セーラームーンに関しては、原作とアニメがほぼ同時だったこともあり、どんなグッズを出すかということを見越して原作のアイテムを考えたり、一緒に作ることができたりしたのだそうだ。これが効を奏し、変身グッズなどがヒット、総額1000億円もの売り上げにつながった。

「20周年の1年前の2011年くらいからなにかやりたいという声が方々から出てきた」という20周年プロジェクト。前述の3社に加え、音楽はキングレコード、ネット配信にはドワンゴの5社体制でスタートさせた。