みずほ総合研究所の調査によると、2015年後半から一人当たりの買い物代の伸びが急激に落ち込んでいる。理由は大きく分けて2つ。円安の一服と免税拡大策による押し上げ効果の一巡だ。以前書いた記事で百貨店の動向について述べたが、百貨店などは後者の影響を最も受けた業界だろう。

費目別の1人当たり支出。みずほ総合研究所HP より

主要訪日国の費目別1人当たり支出。みずほ総合研究所HP より

サービス消費にのびしろ

では今後1人当たりの買い物代は増加するだろうか。この点については、大幅なのびが期待できないとしている。免税品の最低購入金額の引き下げやビザの緩和など、政策効果で減速に歯止めがかかるものの、政策も小粒でそれほどの効果が見込めないとの理由だ。さらには、中国政府による中国国内への荷物の持ち込み制限の強化や、為替の動向も引き続き注目していく必要がある。

ここで注目されるのは買い物以外の消費だ。みずほ総合研究所の調査では、所得が増加すると買い物に対する支出が下がる一方、サービスに対する支出は上昇すると指摘されている。買い物は自国の製品の良し悪しによって左右される一方、日本独自の観光資源のブランド力の認知度の高まりがそういったことをもたらしているという。