さて、Appleの取り組みで、WWDC基調講演中、最後に紹介されたのがDifferential Privacyだ。Differentialは日本語では「差分の、微分の」などと訳される。自動車の世界では、動力輪の左右の回転差を吸収してスムーズに走行できるようにするデファレンシャル・ギア、略してデフとして親しまれている。

Appleもユーザーデータの収集に乗り出したが、匿名化に加え、ノイズを追加してデータの復元をしにくくした上で、集団の中からパターンを見出す分析を行うとしている

プライバシー分野でのデフで、Appleがやろうとしていることは、ユーザーのデータからプロフィール情報を排除し、ノイズを混ぜた上で、許諾をとって収集し、パターンを見出す形で機械学習に活かそう、というアイディアである。

この手法で分析するのは、QuickTypeへの新語の登録、絵文字入力(とメッセージアプリでの絵文字変換機能の学習)といった入力関連の学習促進、アプリ間連携のディープリンク情報、そしてノート検索のヒントに使われるといったところだ。