iOS 10は、予定通りに行けば、2016年9月に正式版がリリースされ、一般のユーザーも利用し始めることができるようになる。また、7月からは、パブリックプレビュー版が一般のユーザーにも配信されるため、いち早く試してみることができるようになる。

Appleはプレビュー版からのフィードバックを反映して正式板を作っていくため、必ずしも現在のプレビュー版が最終的なものになるかは決まっていない。ただ、Apple Musicのユーザー体験に問題があることは指摘しておきたく、これをよりシンプルに改善しようとしている姿勢は、評価することができるのではないだろうか。

Apple Musicは、音楽をより自由に、たくさん聞けるようにするサービスだ。もちろん、自分の好みに合った楽曲を提示してくれることも大切だが、For Youが日替わりの音楽マガジンのようになった点で、日々の音楽の中で緩やかに新たな音楽との出会いを演出してくれるようになるのではないか、と期待している。

また、NewタブをBrowseタブとして再設計して、メニューを整理した点も、格段に使いやすくなることが期待できる。しかし、まだまだタップ数の削減余地はあるのではないか、と思う。

今後のApple Musicに期待したいことは、DJ Siriだ。 Siriといっても、音声アシスタントに機能して欲しいのではなく、ユーザーの行動を学習して最適なコンテンツを提案する「Siriの検索候補」がApple Musicの中で、より活躍してくれるようになることだ。

例えば、iOSのSpotlight検索画面を表示したとき、連絡先やアプリのおすすめだけでなく、Apple Musicのアルバムやプレイリストのお勧めを表示してくれれば、ワンタップですぐに音楽を聞き始められるのに、と思うのだが。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura