今や、ローカルストレージにデータを保存するメールクライアントを使っているのは少数派。ユーザーの大半はGmailやOutlook.comといったWebメールサービスを利用しているだろう。さらに、アプリケーションのSaaS (Software as a Service) 化、Webコンテンツのリッチ化が進む一方で、モバイルPCを外出時に利用するシーンも増加している。このような背景から、電力効率の高いWebブラウザーが求められている。

この課題にひとつの答えを出したのがMicrosoft Edgeだ。Microsoftの公式ブログ記事「Get more out of your battery with Microsoft Edge」では、Surface BookにMicrosoft Edge、Mozilla Firefox、Google Chrome、Operaをインストールし、同一の条件で次々と静止画を切り替えるコンテンツを再生 (ちなみにOperaのパワーセーブモードは有効)。その駆動時間を計測している。

Webブラウザの違いによるバッテリ駆動時間の差 (Microsoft公式動画より)

上図のとおり、最短はGoogle Chromeの約4時間20分、続いてMozilla Firefoxの約5時間10分、Operaは約6時間19分、Microsoft Edgeは約7時間22分というのが結果だ。ベンチマークはこれだけではない。複数のタブを開いて作業する際、Microsoft Edgeは非アクティブなタブのリソース消費が最小限になるよう設計している。これを証明するために、Webブラウザの典型的なアクションを行いつつ、Surface Bookの消費電力を監視した結果も公開している。

各Webブラウザーの平均消費電力 (以下画像、Microsoft公式ブログより)

FacebookやGoogle、YouTube、AmazonといったWebサイトを開いた際の平均消費電力だが、待機時の318mWに対して、Microsoft Edgeは2,068mW、Google Chromeは2,819mW、OperaやMozilla Firefoxは3,000mWを突破した。公式ブログではは「Microsoft Edgeは36~53%の効率性を備える」としている。

実のところ筆者も一部の環境を、Mozilla FirefoxからMicrosoft Edgeに切り替えた。Microsoftのように測定した訳ではないが、どうもMozilla Firefoxを起動しているとバッテリーの減りが早く感じる。デスクトップPCはいまだにMozilla Firefoxがメインだが、普段持ち歩いているSurface Pro 4のWindows 10を、Current BranchからInsider Preview (Slowリング) に変更し、拡張機能に対応したMicrosoft Edgeに切り替えた次第だ。

あくまでも肌感覚レベルだが、以前のようにWebブラウジング中にバッテリ残量が目に見えて減っていくような場面は少なくなったように感じる。ただし、Microsoftが行ったベンチマークについてはOperaが異を唱えており、ベンチマーク環境などを公表するよう求めている。

Microsoft Edgeの変化については、こちらの公式ブログ記事がより詳しい。改善点のひとつは、バックグラウンドタブの効率化。非アクティブな状態のWebページはJavaScriptタイマーを1秒1回に抑制する。次に、Flashコンテンツの抑止。CPUやGPUリソースを消費するFlash広告が中央にない場合は実行を一時停止し、対話式の再生機能を追加する。

諸条件は記載されていないものの、改善が加わる前と後のMicrosoft EdgeによるCPUリソース消費量を比較

そして、ボタンアニメーションの改善。Microsoftの説明によると、<読み取りビュー> ボタンのアニメーションは120フレーム (!) で構成されていたため、GPUに負荷がかかっていたという。そこで、最適化したうえで40%のフレームを削減し、トラディショナルXAMLアニメーションを置き換えることでGPU負荷の軽減に成功している。

従来のMicrosoft Edgeにおいて、ボタンアニメーションで発生していたGPU負荷

改善後のMicrosoft Edgeでは大きな負荷は発生していない

最後が、ネットワークの効率化。トランスポートレイヤー層のTCPでTFO (TCP Fast Open)をサポートすることで、従来の3Way Handshakeを簡略化。また、送信時に最後のパケットが消失した際に、送信側が再送タイムアウトを待たずに回復するTLP (Tail Loss Probe) や、検出ロジックとしてRACK(Recent Acknowledgement)をサポートした。その結果Wi-Fi接続の効率性が向上するという。

さらに別の公式ブログでは、JavaScriptのパフォーマンスをさらに向上させたことを明らかにしている。このように着々と進化するMicrosoft Edgeだが、安定性を欠く場面に出くわすこともあり、未完成の印象は拭いきれない。だが、電力効率の向上は外出時にPCを多用するユーザーにとって大きな恩恵となるだろう。今夏リリース予定のWindows 10 Anniversary Updateに期待したい。

阿久津良和(Cactus)