2016年6月23日(以下すべて現地時間、日本は24日未明)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド14372を、Fastリングを選択したPC向けにリリースした。ご承知のとおり前日にビルド14731をリリースしたばかりだが、Microsoftは荒波のごとく新ビルドをインサイダーに投げ掛けてくる。本ビルドでは、バグフィックスや全体のパフォーマンス改善、信頼性の向上にとどまり、新機能は実装していない。

パフォーマンスの改善と信頼性の改善が中心

2016年6月を振り返ると、8日にビルド14361。14日にビルド14366。16日にビルド14367。22日にビルド14731。そして23日のビルド14732と、Microsoftは5つの新ビルドを公開してきた。周知のとおり同社は今夏(バージョン番号から察するに2016年7月)にAnniversary Updateのリリースを控えているが、この勢いはまさに"開戦前夜"のようである。

Microsoft WDG(Windows and Devices Group) Software EngineerのDona Sarkar氏によれば、第2回Bug Bashでは、7万1,000個のクエストと8万1,217のフィードバック&投票があり、その範囲はボツワナやトルクメニスタンなど世界各国からアクセスがあったそうだ。下図はビルド14366の時点でMicrosoftが「インサイダーHub」に投稿した記事だが、1位は米国、2位は中国、3位はブラジルの順に投稿やクエストが多かったという。ちなみに日本はインドと並んで7位だった。

第2回Bug Bushの結果(インサイダーHubより抜粋)

さて、本ビルドはバグフィックスにとどまり、OSに関する新機能は加わっていない。Sarkar氏も「全体的なパフォーマンスと信頼性の改善」と説明している。ただし、Microsoft Edge機能拡張として「Evernote Web Clipper」が新たに加わった。情報収集にEvernoteをお使いの方には便利な機能となるだろう。

新しいMicrosoft Edgeの拡張機能「Evernote Web Clipper」

PC/モバイル版の既知の問題

さて、いつもはPC版およびモバイル版の主な改善点や既知の問題を紹介しているが、Microsoftはビルド14372の改善点を明らかにしていない。そこで既知の問題を紹介する。まずはPC版から。

  • ネットワークのフライアウトからVPN接続を実行できない問題。
  • 「Evernote Web Clipper」使用時、特定Webサイトのサムネイル画像を取得できない。また、視覚的な問題が残っている。
  • 「開発者モード」有効時に必要なコンポーネントをWindows Updateから取得できないため、ポータブルデバイスを使用できなくなる。

次はモバイル版で確認済みの問題を紹介する。

  • OneDriveに格納しているバックアップ形式を変更し、サイズ縮小に努めている。その結果、Windows 10 Insider Preview ビルド14371のバックアップデータを、Windows 10 Mobile ビルド10586に復元すると、スタート画面のレイアウトが復元しないなど正しく動作しない。
  • Lumia 1520/930/830など古いチップセットを採用したデバイスで、バッテリー駆動時間が短くなる問題。
  • Wi-Fi接続が切断してしまう問題。

阿久津良和(Cactus)

前回の記事はこちら
・Windows 10 Insider Previewを試す(第55回) - ライセンス認証ロジックが変わったビルド14371登場
http://news.mynavi.jp/articles/2016/06/23/windows10/
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