和食との組み合わせを確立できるか

綿密なブランディングへの意識を感じさせる「煎」だが、この商品でAGFが開拓したい市場はどこなのだろうか。三浦氏は「(住み分けについては)あまり考えていない」と話していたが、「和」を感じさせる新ブランドをAGFが展開する背景には、ブレンディとマキシムの既存2ブランドとの違いを新製品で明確に打ち出し、これまで取りこぼしていた需要を捕捉したいという同社の狙いも見え隠れする。

「煎」で訴求したい客層は

「ブレンディはどちらかというとファミリーユースで、若い方から年配の人まで幅広く楽しんでもらっている。(ブレンディの特徴としては)万人受けする味で、ミルクにもよく合う。煎はブラックで楽しんでもらいたい」と三浦氏。この言葉から、「煎」で訴求したいのは「違いの分かる大人の客層」であることが感じ取れる。「客層はある程度分かれると思っている。(煎は)生活を楽しむとか、和食などの食にこだわるといった、シニア層に向けて発信している」と三浦氏が語るとおり、「煎」のプロモーションは年齢層が高めの客層に受けそうな感じだ。

和菓子を食べるときに、当然のように煎茶を用意していた人にとって、「煎」は新たな選択肢となりうる。和食との組み合わせを確立できれば、「煎」で訴求できる市場は更に拡大すると思われるが、まずは「和菓子とコーヒー」がどこまで一般に受け入れられるかに注目したいところだ。