"格安結婚式"を実現する「スマ婚」が、東京都・渋谷にショールームを開設した。くつろげる空間を併設しており、無料でコーヒーを飲みながら、結婚式に関する情報を収集できるオープンスペースだ。道玄坂の一等地で始めた新たな試みは、ゆるやかに縮小しつつあるブライダル市場の中で、どのような位置づけにあるのだろうか。
ターゲットの減少で市場は縮小する一方
矢野経済研究所によると、2015年のブライダル関連市場規模は前年比99.3%の2兆5,480億円だった(挙式・披露宴、家具、旅行、ジュエリー、結納関連、結婚情報サービスの主要6分野の合計)。その中で過半数を占める挙式・披露宴の関連市場規模は同99.4%の1兆4,160億円。ここ数年ずっと、微減傾向にある。
厚生労働省がまとめた2015年の婚姻件数は約63万5,000件で、前年比98.6%(速報ベース)。この数字は戦後最小だという。人口減によって婚姻件数が減少しているだけでなく、晩婚化や経済的な事情から、挙式・披露宴を行うカップルも減っている。
挙式件数の減少による大幅な売り上げ減を防ぐため、ブライダル関連サービスでは、価格を引き上げる傾向にある。リクルート ブライダル総研の「ゼクシィ結婚トレンド調査2015」によると、挙式・披露宴の総額平均は352.7万円。消費増税の影響もあるが、前年調査より19万円増加している。
5年で50万円もアップ!?
「5~6年前だと、披露宴の平均予算は300万円ほどだった。それがここ数年で50万円も上がっている。経済的な理由から挙式をしなかったり、家族だけの食事会で済ませたり、といったカップルが増えたことで挙式件数も減り、式場は売り上げ確保のためにまた単価を上げる、という悪循環に陥ってしまった」とスマ婚を運営するメイション 渋谷支社の新地将史支社長は説明する。
結婚式の2次会代行サービス「2次会くん」で業績を伸ばしていたメイションは、2009年に「スマ婚」を立ち上げた。リーマンショック後の経済低迷を背景に、派手な演出を行わない"地味婚"や、挙式そのものを行わない"ナシ婚"が広がり始めた時期だ。
「それまで、挙式から披露宴まで、式場がすべてプロデュースするスタイルだった。それだと利用者にとっては式場やドレスの選択肢も少なく、業者間の競争原理も働かないので高額になりがち。スマ婚では、式場・ドレスなどを自由に選べるため、業者間でも競争が起こり、挙式・披露宴の価格破壊を引き起こせた。現在、スマ婚が手がける挙式・披露宴は平均200万円前後と、一般的な式場の6割程度で済む」と新地支社長はいう。