法人需要も衰えず

見逃せないのが法人需要において、フィーチャーフォンの利用が引き続き多いという点である。一般的に法人契約は携帯電話市場全体の約1割と言われるが、フィーチャーフォン専業のパナソニックの場合、約3割を法人需要が占めるという。法人需要でのフィーチャーフォン利用はいまでも根強いといえ、パナソニックでも、企業における一括導入案件に対応することがあるという。

主要キャリア各社は、スマホへの移行促進を重点戦略に据えているものの、こうした根強いフィーチャーフォンユーザーに対して、継続的な製品供給を行っており、この姿勢は当面変わることがなさそうだ。

こうした根強い需要があることから、フィーチャーフォンの進化も着実に行われている。

最新ガラケー「P-01H」

たとえば、パナソニックが、2015年11月に発売したNTTドコモ向けフィーチャーフォン「P-01H」は、3.4型フルワイドVGA液晶パネルを搭載。カメラの画素数は約510万画素、電話帳への名前登録件数は3,000件となっている。

パナソニックのフィーチャーフォン「P-01H」

ボディカラーはゴールド、ダークメタル、ホワイト、レッドの4色を用意

「2008年に発売したP-03Aでは、3.0型ワイドQVGA液晶を搭載し、内蔵カメラは約320万画素。電話帳への登録件数は1,000件であり、そこから大きく進歩している。さらに、当時の製品では搭載していなかったBluetoothへの対応、歩数計の搭載のほか、IPX5および7の防水性能、IP5Xの防塵性能も備えている。大容量の1,000mAhのバッテリーを搭載したことで、連続待受時間は約750時間、連続通話時間も約240分と長時間化した。当時の価格は4万3,200円であったが、現行モデルでは2万8,800円と低価格化が図れている。見やすく、便利になり、安心で、お手頃価格を実現している」(パナソニック AVCネットワークス社ITプロダクツ事業部東アジア営業統括部営業企画部マーケティング課主務の峯嶋進氏)と、フィーチャーフォンの着実な進化を示してみせる。

パナソニックでは、全国のドコモショップなどを定期的に訪問し、フィーチャーフォンに対して、ユーザーからどんな要望が出ているのかを聞き取る作業を地道に行っている。これを年1回発売する新製品へと反映させて、製品の進化へとつなげてきた。

さらに、P-01Hでは、80ドットのフォントサイズで表示できる超大文字表示を実現。従来モデルでは、送受信したメールだけが特大サイズでの文字表示を可能としていたが、現行モデルでは、メール作成画面や電話帳、発着信履歴の文字もこのサイズでの表示を実現。さらに、7種類のメニュー画面を用意し、ベーシック画面設定時は第2階層のメニュー文字も大きく表示できるようにした。

80ドットフォント対応。シニア層の利用を想定して文字の表示を大きくしている

そのほか、聞き取りやすい音質を3つのなかから選んで通話できる受話音質設定や、周囲の騒音レベルにあわせて通話相手の声を補正する「しっかりトーク」、明るい陽射しの下などの画面がみにくい場合に見やすくする「屋外モード」など、使いやすさも追求している。

受話音質を3段階から設定可能。これもシニア層を意識した機能のひとつ

また、パナソニックが従来製品から搭載しているワンプッシュオープンボタンや、テンキーの下部に設置された3つのマルチワンタッチボタンといった操作環境を継続。「69%のユーザーが、次もパナソニック製を購入したいと回答していただいているように、使い慣れた操作性や機能を継続することにもこだわった」という。

人間工学に基づいたテンキーを採用。ドーム形状のボタンで使いやすさを実現している